愛知県の三好カントリー倶楽部 西コース(7300ヤード・パー71)で開催中の「バンテリン東海クラシック」の第3ラウンド。愛知県出身であり、大会主催・特別協賛である興和のサポートアスリート(契約ホストプロ)でもある桂川有人。地元ファンとスポンサーの期待を一身に背負って臨んだこの日は、イーブンパーの「71」でホールアウトした。通算8アンダーの単独3位につけ、首位と3打差の逆転圏内で運命の最終日へと望みを繋いでいる。三好の難セッティングと気まぐれな強風の中、桂川が記録した3日間の「パーキープ率94.444%(54ホール中51ホール)」は全出場選手中堂々の単独1位。ボギーを叩いたのはわずか3ホールのみと驚異的な粘りを見せているが、この日のスコアカードの裏には、文字通り耐え抜いた凄絶な葛藤が隠されていた。
画像: たくさんのギャラリーの声援に応える桂川有人

たくさんのギャラリーの声援に応える桂川有人

出だしの判断ミスから始まった我慢のラウンド

試練は出だしの1番ホール(パー4)で訪れた。ここで叩いたボギー発進が、桂川の心に暗い影を落とす。ラウンド後のインタビューで、彼はその時の心境を率直に明かした。

「まず出だしで番手をミスしてしまい、メンタル的にもちょっと落ち込んでしまって」

ホストプロとして地元ギャラリーの大声援に応えたい思いが強いからこそ、序盤のつまずきは重くのしかかった。

「そこからなかなか流れに乗ることができなくて」

焦りを抱えながらも、スコアを崩すまいと必死にもがく時間が続く。8番(パー3)でもボギーを叩く苦しい展開となったが、「何とか耐えてはいたので、まあ頑張れたほうかなと思います」と振り返る通り、持ち前の粘り強さで致命傷を避けて耐え忍んだ。

319ヤードの弾道と、フィールド唯一の「上がり連続バーディ」

苦境の中で歯を食いしばり続けた男に、ゴルフの神様は最高のクライマックスを用意していた。

舞台は、スコアメイクが極めて難しい三好のインコース終盤。「ショットメーカー」のイメージが強い桂川だが、この日のドライビングディスタンスは319.22ヤードで全体4位を記録。強風を切り裂く力強いショットで攻略の足がかりを築くと、17番(パー4)でこの日初となる待望のバーディを奪取した。

そして迎えた最終18番(パー4)。この日の平均ストロークは「4.4531」に達し、3日目の難易度1位タイとなった最難関ホールだ。この日バーディを奪えたのが出場64名中わずか5名しかいなかったこの魔のホールで、桂川は見事にバーディパットをねじ込んだ。難関の17番、18番を連続バーディで締めくくったのは、3日目の全フィールドで桂川ただ一人である。

ホストプロの意地――地元Vへ向けた最終日の誓い

画像: 耐えに耐えた18ホールだった桂川有人。18番ではガッツポーズが飛び出した

耐えに耐えた18ホールだった桂川有人。18番ではガッツポーズが飛び出した

18番グリーン上で飛び出した会心のガッツポーズ。その瞬間の心境を問われると、張り詰めていた表情を緩めて語った。

「今日は苦しい一日だったので、最後にあの『ご褒美』が来て本当に良かったです。明日に向けていい締めくくりができたんじゃないかなと思います」

苦しい時間帯に背中を押し続けたのは、地元ギャラリーの温かい歓声だった。「本当に皆さん喜んでいただいて、声援もすごくて気持ち良かったです」と感謝を口にする。

大声援を力に変えて挑む運命の最終日。

「まだここで優勝する姿を見せることができていないので、明日最後まであきらめないで頑張りたいと思います。今日もライン読みが少しずれていた部分があったので、そこが噛み合えばチャンスはあるんじゃないかなと思います」

出だしの絶望を跳ね除け、執念で手繰り寄せた最高の手応え。契約ホストプロとして、そして地元の星として、桂川有人は大歓声の待つ最高のエンディングへ向けて最終日のティグラウンドに立つ。

写真/岡沢裕行


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