キャリー勝負を捨て、ランで勝つ――星野陸也の「頭脳戦」

本戦で予選落ちを喫したホストプロの星野陸也がドラコンで優勝。大会を盛り上げた
「もうあのメンバーに、キャリーで勝つのは不可能に近いんで」
競技後の囲み取材で、星野は冷静にそう明かした。ツアー屈指のロングヒッターが揃う中、キャリーだけの力押しでは分が悪い。そこで星野が選んだのは、着弾後のランを極限まで稼ぎ出す戦略だった。
「自分の中で結構いいショットが打てて、ドロー回転もかかってくれた。いい感じに前へ転がってくれて、完璧な球でした」
ドラコンは単に遠くへ飛ばすだけでなく、1番ホールのフェアウェイ(有効計測エリア)に球を止めなければ記録にならない。星野が放ったドローボールは、ランを最大限に伸ばすだけでなく、コース幅の中にしっかりと球をコントロールして収める計算された頭脳戦の結実だった。
惜しくも3連覇ならず――高校生アマ・松山茉生の凄まじいキャリー

左から3位の池村寛世、優勝の星野、2位の松山茉生
その星野の老獪な知略を、あわや打ち破るかというところまで追い詰めたのが、大会3連覇を狙った高校生アマチュアの松山茉生だ。
記録は331.8ヤード。優勝した星野にわずか1.7ヤード差まで迫る堂々の2位に入り、ツアーの先輩プロたちを大いに震え上がらせた。星野自身も若きパワーに冷や汗をかいたという。
「最後の2人(松山と池村)もいいショットを打ったのでヒヤッとしました。ランの差で勝てたのかなという感じですね。ドローを打っておいて良かったです(笑)」
星野の安堵の言葉が示す通り、純粋なキャリーの飛距離では10代のアマチュアがトッププロを凌駕していた。
スリクソン「SRIXON ZXi RKT」がワンツーフィニッシュ

星野が使用したドライバーは「スリクソン ZXi RKT」。2位の松山が「スリクソン ZXi RKT TR」なので、「スリクソン ZXi RKT」シリーズがワンツーフィニッシュだった
この330ヤード超の異次元バトルを支えたのが、各メーカーが技術の粋を集めた最新ドライバーだ。
今回、他社を圧倒してワンツーフィニッシュを飾ったのがダンロップの最新作「スリクソン ZXi RKT」シリーズである。優勝した星野は「スリクソン ZXi RKT」ドライバーと「Z-STAR DIAMOND」ボールを使用。2位の松山も「スリクソン ZXi RKT TR」に「Z-STAR XV」ボールを組み合わせ、強烈な初速と転がりでフィールドを席巻した。
もちろん他メーカーも黙ってはいない。324.2ヤードで3位に入った池村寛世は「テーラーメイド Qi10 LS」、321.1ヤードで4位の出利葉太一郎は「キャロウェイ パラダイム Aiスモーク ◆◆◆MAX」を握り、意地を見せた。
一発勝負の過酷さ――桂川有人も挑んだグリッドの壁

ドラコン参加者たち
5位以下には小村優太(318.2ヤード)、福住修(308.3ヤード)、中野麟太朗(306.0ヤード)、小田祥平(283.8ヤード)が続いた。
一方で、本戦3日目を終えて首位と3打差の単独3位につける地元の星・桂川有人も果敢に参戦したが、放った打球は指定エリア外へ外れて「記録なし(9位)」。本戦で求められるフェアウェイキープとは異なり、マン振りしながら狭いグリッドに収めなければならないドラコンならではの一発勝負の過酷さを物語っていた。

気合い十分で挑んだ中野麟太朗。1球目はひっかけ、2球目は修正したが右プッシュでこのリアクション
選手の戦略的なマネジメント、若き才能の純粋なパワー、そしてそれらを引き出す最新テクノロジー。これらが揃うからこそ、三好のドラコンはファンを熱狂させる。進化し続けるギアとともに、来年もまた豪快な放物線の競演を楽しみにしたい。

