フロリダの悪天候を逃れ、コーチを緊急招集
マキロイは過去にこの大会へ14回出場し、2位が4回、3位が6回。実に10回もトップ3に入りながら、彼の手には一度も優勝トロフィーが収まっていない。前年の同大会でも、最終日に10アンダー「62」という猛烈なチャージを見せながら、わずか1打差で涙を呑んだ。
「これだけ優勝争いをして勝てていないのはクレイジーだ。やり残した仕事がある」
15回目の出場となる今大会の公式会見で、マキロイは未勝利の現実に対する葛藤と、静かで確かな執念を滲ませた。
アブダビの呪縛に終止符を打つべく、今週のマキロイは異例の直前調整を行った。長年のスウィングコーチであるマイケル・バノンを、急遽現地アブダビへ呼び寄せたのだ。
当初は米フロリダ州でコーチと合流し、調整を進める予定だった。しかし、フロリダは学校が休校になるほどの激しい洪水と悪天候に見舞われ、十分な練習環境を確保できなかった。そこでマキロイは「アブダビに来て、スウィングを見てほしい」と要請し、コーチを中東の地へと緊急招集した。年間王者争いの大詰め、そしてアブダビでの悲願達成へ向けた、トッププロの勝利への渇望が伝わる行動だ。
現在取り組んでいるのは、スウィング軌道の繊細な微調整である。
「右腕のポジションと、トップでのクラブ軌道をよりストレートにする調整を行っている。完璧ではないが、コースでも練習場でも良い感触を得ており、かなり状態は上がっている」と、技術的な手応えを明かした。
11月開催への移行とヤス・リンクスの好相性

ドライバーを気持ちよく振り切れるヤス・リンクスはマキロイにとって相性のいいコースと話す(写真は26年全英オープン)
舞台となるヤス・リンクスは、マキロイの圧倒的なアドバンテージを引き出すコースだ。前戦の「DPワールドインド選手権」(デリーGC)については「自分に完璧に合うコースではなかった」と振り返る一方、今週の舞台には強い自信を見せる。
「パー5などで飛距離を生かし、ドライバーのアドバンテージを存分に取ることができる。今週はプレーしていて非常に快適だ」
かつて大会が1月に開催されていた頃は寒さと強風に見舞われることもあったが、11月開催となった現在は気温が高く風も穏やかだ。「今年プレーする中で最高のコンディションかもしれない」と絶賛する通り、年を追うごとにコースへの苦手意識は消え去り、今や最高のパフォーマンスを発揮できる舞台へと様変わりしている。
「追う立場」として挑む年間王者争い――上位直接対決
現在、年間ポイントレース「Race to Dubai」で3位につけるマキロイにとって、このアブダビでの戦いは8度目の年間王者戴冠へ向けた正念場だ。
過去7度の年間制覇のうち4度は首位(追われる立場)で終盤を迎えていたが、今回は3位から仕掛ける「追う立場(ハンター)」である。予選ラウンドでは年間1位のエウヘニオ・チャカラ、2位のパトリック・リードと同組で直接対峙する。
「彼らのプレーを間近で見ながら戦うことになる。特に首位のチャカラがこのプレッシャーをどう扱うか見ものだ。非常に楽しみにしている」
欧州ツアーを主戦場にポイントを積み上げたチャカラに対し、メジャーや大舞台に絞って戦ってきたマキロイは「異なるルートでここまで来たが、この2試合の大量ポイントがあれば十分逆転可能だ」と、ベテランらしい計算と自信を覗かせる。
悪天候のフロリダからコーチを呼び寄せる執念でスウィングを研ぎ澄まし、相性抜群のリンクスでドライバーを振り抜く。15度目の正直へ。マキロイが自らにかかったアブダビの呪縛を解き放ち、“忘れ物”を手にする準備は整った。
写真/R&A提供
【動画】60秒編集なし! マキロイのスウィング調整映像【DPワールドツアー公式X】
@DPWorldTour post on X
x.com
