米ツアーAT’&T バイロン・ネルソンで、ビリー・ホーシェルが2年8カ月ぶりの優勝を飾った。「いろいろあったから心底うれしい! 今までで一番グッときた勝利」と感無量の表情を浮かべたのには“ワケ”があった。

2年8ヶ月ぶりの優勝は“家事”をしながらつかんだ

2014年のプレーオフシリーズ最終戦、ツアー選手権で優勝し、大逆転で年間王者に輝き1000万ドル(約11億円)のボーナスを手にしたときでさえ「これほどの感動はなかった」というホーシェル。

久々の優勝だったから喜びもひとしおだった? 直近に4試合連続予選落ちしていたから? 前・世界ランク1位、ジェイソン・デイとの一騎打ち(プレーオフ)を制したのがそれほどうれしかったのか?

画像: 「A&Tバイロン・ネルソン選手権」は02年に丸山茂樹が優勝し日本人にとって馴染み深い大会だろう(写真は2015年プレーヤーズ選手権、練習日)

「A&Tバイロン・ネルソン選手権」は02年に丸山茂樹が優勝し日本人にとって馴染み深い大会だろう(写真は2015年プレーヤーズ選手権、練習日)

もちろんこれらも喜びを倍増させたスパイスだろう。だが彼が抱えていた問題はもっと深刻だった。優勝した翌日、ツイッターに投稿された妻ブリタニーさんの告白でその真相が明らかになる。

「ドキドキしているし、どう思われるか心配だけれど、同時にここで事実を打ち明ける決意をした自分を誇りに思います。はっきり言いましょう。私はアルコール中毒だったのです」

画像: brittany horschel on Twitter twitter.com

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上はブリタニーさんのツイッター。「なぜ旦那さんにとって特別な勝利だったのか、そのワケを皆さんと共有したいのです」とのつぶやき、長文を載せた

アルコール依存が抜き差しならぬ状態に陥った彼女は「心身ともに健全な自分を取り戻すため」リハビリ施設へ入所する。それがちょうど1年前の5月末のこと。およそ2カ月の加療を経て退所し、病との決別に成功したという。

「1年前のまさにこの時期です。施設に入った私の代わりに1歳半の娘の世話も、身の回りのことも、新居への引越しも、すべてビリーが負担することになりました。もちろん試合には出ながらです。周囲の協力があったとはいえ、これから先どうなるのか? 悲しくて、恐ろしくて、不安で押しつぶされそうだったでしょう」と夫の苦労をおもんばかった妻。

ホーシェルは「いろいろあったから…」と言葉を濁したが、妻はしっかり自らの病を認め、反省し、乗り越え、事実を公にすることで再び笑顔を取り戻したのだ。

絶頂からどん底、そして優勝へ

2人の出会は10代の終わり。ジュニアの試合で一緒になったのがきっかけで交際がスタートした。高校卒業後は2人でフロリダ大学に進学しゴルフ部で活躍。ブリタニーさんもプロを目指し競技ゴルフに勤しんだが、やがて09年にプロデビューした彼を支える縁の下の力持ちに徹することに。そして14年、ホーシェルがフェデックスカップ王者に輝いた2日後に長女が誕生。カップルは至福のときを迎えていた。

ところが娘が1歳半になった頃、リハビリ施設への入所を余儀なくされるほど妻の依存症は悪化。家族にとって試練が続いていた。

どん底ともいえる時期を経験しただけに今回のツアー4勝目は“格別”だった。「妻がそのことを公にするとは思っていなかったけれど、妻として母として彼女は本当に素晴らしい人なんだ」(ホーシェル)

画像: ナイスガイなビリー・ホーシェル、今後の活躍に期待だ(写真は2015年プレーヤーズ選手権、最終日)

ナイスガイなビリー・ホーシェル、今後の活躍に期待だ(写真は2015年プレーヤーズ選手権、最終日)

来日したとき「芝を傷めたくないから」と練習グリーンで靴を脱ぎ、タオルを敷いて球を転がしていた姿が印象に残る。年間王者になったときには、手にしたボーナスの10パーセントに当たる1億円のチェックを、ロッカールームで勝利の余韻に浸っていたキャディに贈ったという逸話を持つナイスガイ。

次女を出産したばかりのブリタニーさんはいう。「彼とパッティング対決をすると、今でも私の方が強いのよ。彼が勝ったこと? 多分1度もないわね(笑)」

良き家族に幸あれ!

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