2017年6月24日土曜日、アース・モンダミンカップの3日目を観戦に出かけた。お目当てはあの選手。そう、韓国アン・シネだ。そのビジュアルばかりが注目される「セクシークイーン」は、果たしてどんなゴルファーなのか。ギャラリー目線でじっくりレポート。

とにかくピン狙い! 見た目だけじゃない、プレーも超アグレッシブだった

2017年のアース・モンダミンカップの話題は「アン・シネ一色」と言ってもいいほどだった。セクシークイーンとして大きな注目を集めてから一カ月。久しぶりの日本ツアー参戦とあって、多くのメディアがこの日も取材に訪れていた。筆者もその一人。

ただ、こちらはゴルフ専門メディア。どんなウェアを着ていたかだとか、そのウェアがひざ上何センチだったかなどといった情報ではなく(もちろんそれも気にならないといえば嘘になるが)、彼女がいかなるゴルファーなのか。そこにフォーカスしてお伝えしたい。

というわけで筆者はアース・モンダミンカップが開催されている、カメリアヒルズCCの10番ホールにいる。折しも、全身白のウェアで固めたアン・シネがハーフのプレーを終え、バックナイン(後半の9ホール)へと向かっいはじめたところである。

それなりの数のギャラリーを引き連れてはいるものの、数でいえば2組前をプレーするイ・ボミの組のほうがやや多いといったところか。カメラマンの数も、少なくはないがものすごく多いというわけでもない。まずはお手並み拝見だ。

画像: 多くのギャラリーを引き連れて歩くアン・シネ。一緒に歩くのは同組で同じ韓国出身のユン・チェヨン。おいしいレストランなどの“日本情報”を交換しながらのラウンドだったという

多くのギャラリーを引き連れて歩くアン・シネ。一緒に歩くのは同組で同じ韓国出身のユン・チェヨン。おいしいレストランなどの“日本情報”を交換しながらのラウンドだったという

スコアが動いたのは11番ホール。413ヤードと距離のあるパー4で、パーで上がれば上出来というホール。5番ウッドで打ったセカンドショットを奥6メートルに付け、沈めてバーディ。お見事だ。

続く12番も奥に外し、ラフからウェッジであわやチップインというナイスアプローチ。13番パー3でパーの後、14番パー5は3打目を右ラフから打って奥に外すもパー……と、ちょっと待った。こんなにピン奥につけまくるプロ、見たことないぞ!

ゴルフの基本は「手前から」。ピンを狙って、奥に外すと、下り傾斜に向けてのアプローチを余儀なくされ、それは寄せるのが難しく、ボギーの危険性が高まる。パーを確保しつつバーディを狙うには、手前に止めるゴルフがベターなのだ。

アン・シネのゴルフは違う。とにかくピンを狙うのだ。その結果、ピンの奥に外す確率が増える。ハイリスク・ハイリターンのゴルフ。それがアン・シネのゴルフなのかもしれない。

画像: 「ハイリスク・ハイリターン」。攻めのゴルフがアン・シネの持ち味

「ハイリスク・ハイリターン」。攻めのゴルフがアン・シネの持ち味

バーディもくればボギーもくる“劇場型ゴルフ”

予感が確信に変わったのは15番ホール、156ヤードのパー3だ。横長のグリーンで、ピンは左サイド。さてここでクイズ。同伴の吉田弓美子、ユン・チェヨンはこのピンに対してどう狙ったでしょうか?

  • 保険をかけつつチャンスも残す。グリーンセンター狙い
  • バーディの確率を最大化。ピンを真っすぐ狙っていく
  • ピンを狙ってフェードをかける
  • 保険をかけつつチャンスも残す。グリーンセンター狙い
    57
    139
  • バーディの確率を最大化。ピンを真っすぐ狙っていく
    17
    42
  • ピンを狙ってフェードをかける
    26
    63

左サイドにピンが切られたパー3では、グリーンセンターから軽いドローで狙い、狙い通りにいけばバーディチャンス、かからなくてもパーはカタい。そうやって保険をかけて狙うのが、プロの「基本」。ただし、アン・シネは違う。

ティグラウンド右にティアップすると、スタンスを完全にピン方向に向け、対角線にピンを真っすぐ狙っていったのだ。まるでアマチュアゴルファーの、ピンしか見ないゴルフだ。「おれかよ!」と思わず平均スコア95の私もツッコミをいれたくなる狙い方をした結果、フェースがわずかにかぶってボールが飛びすぎ、奥のラフ。

深いラフ。下り傾斜。すぐそこのピン。大ピンチにも関わらず、アン・シネはロブショットであわやチップインというアプローチを見せる。結局1メートルを外してボギーとするのだが、うーん、この攻めっぷり、半端じゃない!

16番ホールでもそのアグレッシブなゴルフは変わらない。当然のようにセカンドをピン奥につけたアンは、そこから約13メートルのアプローチを58度のウェッジで直接沈め、チップインバーディを奪ってみせた。バーディもくればボギーもくる“劇場型”ゴルフだ。

画像: アグレッシブなゴルフはウェア以上に刺激的。よく奥に外すからか、ピン奥からの“プチロブ”が非常に上手かった

アグレッシブなゴルフはウェア以上に刺激的。よく奥に外すからか、ピン奥からの“プチロブ”が非常に上手かった

「彼女のプレーはアグレッシブだ。ちょっとトゥーマッチなくらいね(笑)」

この日は面白い出会いもあった。ロープの外からアンのプレーを見守る外国人男性。きっとコーチに違いないとあたりをつけて話しかけるとビンゴで、アンが19歳の頃から教えているという、オーストラリア人のリチャード・ウッドハウス氏であった。ウッドハウス氏は言う。

「彼女のプレーはアグレッシブだって? そうですね、ちょっとトゥーマッチなくらい(笑)。つねにピンを狙うプレースタイルなんです」

やはり……。ウッドハウス氏いわく、この日アンは4バーディ3ボギーのラウンドだったが、パー5でのバーディがない。これはマネジメントの問題で、それが改善されればさらに上位にいけるはずだという。ただ、彼女の技術には太鼓判を押す。

「19歳のルーキーイヤーの頃、彼女は華奢で、スウィングにも問題を抱え、全然飛ばないゴルファーでした。それから彼女はハードワークに耐え、スウィングも、ウェッジワークも、パッティングもインプルーブ(改善)しました。もちろん、肉体も格段にインプルーブしています。ハードワーカーなんです」(ウッドランド氏)

この日のアンのウェアは“ひざ上30センチ”のホットパンツだった。しかし筆者は「果たしてこれは“セクシー”なのか?」と疑問が生じていた。あらわになった太ももは筋肉質。相当量のトレーニングの跡が、そこには刻まれている。たしかに美しいが、ただ写真うつりがいいだけじゃない“用の美”というべきものだろう。

画像: セクシーな太ももは“努力の積み重ね”で作られたものである

セクシーな太ももは“努力の積み重ね”で作られたものである

結局、バックナインを通じて、アンはほとんどのホールでセカンドでピンを狙って奥につけ、奥についているんだから難しいアプローチが残されているわけだが、そこからさらにウェッジでカップインを狙っていた。

そう、「セクシークイーン」アン・シネは、上空から一直線に、脇目もふらずに獲物を狙う猛禽類のような超・攻撃的ゴルファーだったのだ(ちなみに、ドライバーの弾道は高弾道ドロー。飛距離は平均よりやや下、といったところか)。

ウッドランド氏によれば、アンは「注目されればされるほど、パワーを発揮するタイプ」だとか。日本ツアーで“時の人”となり、来日すればメディア対応で大忙しとなるが、それすらもプラスにできるメンタルの強さを持っているという。

ウッドランド氏に、「彼女は日本ツアーで勝てると思うか?」と聞いてみた。答えは躊躇なく「イエス」。たしかに、この攻めのスタイルがハマれば、爆発的なスコアが出ることはあるはず。一方で、もっと無難な攻め方をすれば安定した成績を残すことも可能だろう。

画像: 左がコーチのリチャード・ウッドハウス氏。現在26歳のアン・シネが19歳の頃から彼女をサポートしている

左がコーチのリチャード・ウッドハウス氏。現在26歳のアン・シネが19歳の頃から彼女をサポートしている

アン・シネは最終的に4日間トータル7アンダー、16位タイの自己最高位でフィニッシュ。次は7月4日開幕のニッポンハムレディスに参戦予定だ。セクシー“だけじゃない”アン・シネの超攻撃的猛禽類ゴルフ、機会があれば、ぜひ生でご覧になってみてはいかがか。

写真/姉崎正

※2017年6月26日15時46分、内容を修正しました

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