ケンジロウです。ブラジルのリオからお届けします。
男子ゴルフは今日で最終日を終えて、メダリストが決まりました。
ご存知かと思いますが、16アンダーでトップでフィニッシュしたジャスティン・ローズが金メダル、14アンダーで単独2位でフィニッシュしたヘンリク・ステンソンが銀メダル、そして今日63というスコアを出したマット・クーチャーが13アンダーで単独3位に入り、銅メダルに輝きました。
金メダルをかけては、途中からローズとステンソンの一騎打ちの様相を呈していました。まるで全英オープンの再来のようで、このままステンソンが勝つのではという見方をしている人も多かったみたいです。
結局最後はローズが競り勝ちましたが、2人の今日のゴルフの出来はほとんど変わりませんでした。どっちが勝ってもおかしくなかった。前半はともに伸ばしあって、後半は一進一退。18番を迎えた時点でともに15アンダーだったので、我々報道陣はプレーオフを覚悟していましたね((+_+))
最後はアプローチの差が明暗を分けました。というよりその前の2打目のショットが、ローズのほうが良かった(元をただせば、ティショットの差。2人とも右に曲げたが、ステンソンの方が曲がっていた)。
ローズのほうが3打目のアプローチを寄せやすいアングルから打てましたからね。ローズのアプローチがかなり寄ったことで、ステンソンは長い下りのバーディパットを決めなければいけなくなりました。ステンソンは強気のパットで入れにきましたが、それが入らず3㍍ぐらいオーバー。そして折り返しも入らず3パット。でも最初の強気のバーディパットにステンソンのゴールドメダルへの執念を感じました。
どっちが勝ってもおかしくなかったと書きましたが、実際にこの2人は今回かなり仕上がっていました。ジャスティン・ローズなどは先週の金曜日からブラジル入りして、コースチェックを入念にして、「メジャー並みの準備をしてきた」(ローズ)というほどの力の入れよう。ステンソンもチームスウェーデンで早くから練習ラウンドを重ねていました。
初めて回るコースというのも当然あるかと思いますが、メジャータイトルを獲っているトップ選手がこれだけの準備をしてくるのだから、やはりオリンピックでメダルを獲ることの重みは計り知れない価値があるのだと実感しました。
ローズが最後のウィニングパットを決めた時のガッツポーズの力強さ、彼がメリオンで全米オープンを獲ったときと変わらない興奮ぶりでした。写真を撮っていてこんなに鳥肌が立ったのは久しぶりです。
長年ゴルフの取材をしていますが、18番のグリーン上に表彰台を置いて、選手がメダルを首から提げて国歌を斉唱するシーンはものすごく新鮮であり、何かいつもの表彰式と比べて感動を覚えました。これが日本人だったら、なお興奮するものがあったでしょう。
表彰式が終わった後、インタビュールームに3人のメダリストが呼ばれました。3人でインタビューを受けるというのも、ゴルフでは珍しいことです。
その中で「今回獲った金メダルは、自宅のトロフィールームにあるUSオープンのメダルの上に置くのかそれとも下に置くのか」という質問がありました。
それに対してジャスティン・ローズは、
「USオープンのトロフィーの横に置くよ。みんなメジャーとオリンピックを比較したがるけど、僕はこの2つを比較するべきじゃないと思う。僕は今年の早い段階から言っているけど、僕の人生の履歴書をいつの日か読んだ時に「メジャー複数回優勝者でありオリンピックゴールドメダリスト」と書いてあればすごくハッピーだよね。金メダルは獲得したので、あとは別のメジャーに挑戦するだけさ」
と答えています。
ただそのあとにこう続けました。
「このオリンピックと言う舞台は、お金に関係なく本当にそのオリンピックというものの経験を楽しむこと、それがすべてだと思うよ」
どちらが上かは明言を避けたジャスティン・ローズ。その価値は、これから徐々に決められていくのではないか、僕はそう感じました。
実際に今回日本代表としてオリンピックに参加した池田勇太も、同じような感想を抱いていました。
「オリンピックがゴルフ界にとってどういうものかっていうのは、今回やってみて後付けでついてくるのではと思います。今はどの立場にオリンピックがあるのかって、まだみんなわからないし、感じてないだろうし。復活第1回目みたいなものですからね。海外のメジャーより重きをおくものなのか、そういうものはこれからわかってくるのではないかともいます。(最終日に大ギャラリーが入って)ようやく最終日にしてオリンピックとはこういうものなのかなと感じられましたね」
その池田勇太は10番の時点で5つ伸ばして一時は5位タイまで順位を上げました。入賞はおろかメダルも!?と期待が高まりましたが、後半は3ボギーを叩いて失速。
トータル3アンダー、21位タイで112年ぶりのオリンピックの幕を閉じることとなりました。片山晋呉も今日は5アンダーで周り、意地をみせました。
「自分は学生時代も含めて日本代表で戦ってきましたけど、久しぶりにその感覚を思い出しました。日本代表として戦うというというのは、メジャーで日本代表として戦うということとはまた違うということを、久しぶりに体験できました」(池田)
明日からは女子の選手の練習ラウンドが始まります。月曜日と火曜日が練習日で、水曜日から土曜日までが本戦。日本人選手にゼヒとも頑張ってもらいたいですね!
ジャスティン・ローズが金メダルを獲った3時間後ぐらいに、同じイギリスのテニスプレーヤー、マレー選手がテニス競技で金メダルを獲りました。イギリスはさぞや盛り上がっているでしょうね……(-。-)y-゜゜゜