感覚は日によって<うつろいやすいもの>、理性は道理にしたがって<不変に働かすもの>、このふたつのことを唆別した上で、ドライバーからパットに 至るまでの、さまざまなライのボールに対処していく。
訓練しだいじゃないのかな。日ごろから正しく立つ訓練、正しく構える訓練をしていれば自分なりにチェックできる部分がつかめてくるはずですよ。
――日常生活の中でもそういう訓練をしているわけですか。
信号待ちのときなんか左足体重で待ったり、道を歩くときも椅子に座るときも、いつも背筋を伸ばしておいたり、せいぜい、そんなことぐらいのことだけど、やるとやらないじゃ、長い間で差が出てくると思う。
「ゴルフは心のゲーム」ですから、やってはいけないことをやらかした、という反省なり悔恨や懺悔が生まれ、その後にまでひびいて、こころの動揺によるミスをする。だからやってはいけないことは絶対にやらない。そういう自明の理をこころに植えつけるのもまた、日常から訓練しておく。
アドレスでは考える時間がある。その時間のなかでいくつかのチェックをするわけですが、心が動揺しているとそれが出来ない。考えなくてもいいことを考えて、やるべきことを疎かにする。ルール、エチケット、マナー、そういうことによって、不純な考え方が生まれないようにしておけば、少な くともその分だけ心の動揺は防げる。
ルールに抵触するようなことはしない。ミスをしたからといってクラブを叩きつけない。相手がアドレスしたら静かにする。なんでもないことですよね。だ けど、それを守り通すことが出来る人って案外少ないんじゃないかな。
守り通せば、 それがいい習慣になり考え方もいいほうに向いていく。アドレスは不純な考えを排除するところなんです。
今週も「月→ 金コラム」、ご愛読ありがとうございました!
かつてボビー・ジョーンズは「構えたら心配するには遅すぎる」というアフォリズムを残した。中部銀次郎もまた同じように「構えが完了したら確信を 持ってスウィングするだけです」と言う。
そういういさぎよいゴルフが出来るために、もう一度、アドレスを点検してみる必要が、きっと、きっとすべてのゴルファーにあるに違いありません。
(1988年 3月、チョイスVOL.39)
その①の記事はこちら↓↓
中部銀次郎「握る」「狙う」「立つ」の手順 その①ショットの成否は9割がアドレスで決まる
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中部銀次郎「握る」「狙う」「立つ」の手順 その②グリップを “しっかり”させ 肩の力を抜くのは難しい
その③の記事はこちら↓↓
中部銀次郎「握る」「狙う」「立つ」の手順 その③頭の動きを最小限にとどめる“脳天の髪”
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中部銀次郎「握る」「狙う」「立つ」の手順 その④ミスの犯人、疑うべきはアドレスだ