今も韓国女子のお手本
パク・セリの衰えぬ探究心
パク・セリの衝撃的なデビューは、いまでも脳裏に焼き付いている。1998年の全米女子オープンだ。当時20歳9カ月の史上最年少優勝。その若さも驚きだが、ダイナミックでパワー溢れるゴルフは、新しい時代の幕開けでもあった。
しかも韓国人選手が、このパク・セリの活躍によって、一気に米女子ツアー、世界へと羽ばたいた引率者でもあった。
その年、全米女子プロにも勝ち、年間メジャー2 冠という偉業を果たし、2001年には全英女子オープンにも優勝と、その強さと存在感は、他を圧するものだった。
パク・セリに続け! これが韓国のゴルフ事情、とりわけ女子ジュニア選手たちの憧れの存在となったのである。
その後、2004年から2016年までに、韓国女子選手のメジャーチャンピオンが11名とパク・セリの影響力の強さを示している。
今年、39歳。リオ五輪のヘッドコーチに就任するとともに、今シーズン限りでの引退を表明した。
「自分では、長いシーズンを戦い抜くためにより効率の良いスイング作りをしてきたつもり。小さな動きで十分なエネルギーを蓄え、一気にフィニッシュまで振り切る。感覚としては、バックスウィングでのボディ部の動きを1とすれば、そこからフィニッシュまでは3倍の運動量。この1対3の割合を意識するようになって、飛距離を落とすことなく、楽にスウィングができるようになった」
パク・セリの研究熱心さも、いまの若手の目標になっている。そのパク・セリの後継者と言われているのが、昨年19歳で全米女子オープンに優勝したチョン・インジである。
インジは、10月の日本女子オープンも制覇し「世界のメジャータイトルは全部欲しい」と意欲を燃やしている。 (文・三田村昌鳳)