杉原と回って確信!
「ゴルフは総合力のゲーム」

忘れられないシーンが ある。
1997年の全米プロだ。優勝したのはデービス・ラブⅢ。キャディを務めたのが、弟。そして彼の優勝を後押ししたのが、その10年前にこの世を去ったラブの父親 だった。

そのときのシーンを、タイガー・ウッズがこう語っていた。
「あのとき……、デービス が18番ホールでパットを沈めたとき、背筋がゾクゾクしました。デービスからお父さんの話を聞いていたからです。彼も僕たち親子のような 関係だったと思う。だから、あのときまるでカップに向かって虹がかかっているみたいでした」

画像: 雨模様だったが、ラブが最終ホールを上がってくると祝福するかのような日が射した。アメリカのファン待望の瞬間だった

雨模様だったが、ラブが最終ホールを上がってくると祝福するかのような日が射した。アメリカのファン待望の瞬間だった

「そこへボールが向かっていくのが見えました。きっと、彼のお父さん が《入れ》って言っていたんですよ。お父さんは、デービスの兄弟やお母さんと一緒にあそこで見ていたんです。僕にとって、そういう彼らを見ただけで十分でした」

タイガー・ウッズは、 ラブの優勝を家族愛として受け止めていたに違いない。それは、そのまま自分たちの親子の絆にオーバーラップしていたのだろう。

デービス・ラブⅢは、仲間から愛される存在だ。知的で、ゴルフゲームを熟知しているひとりだ。
そのラブが、来日して中日クラウンズで杉原輝雄と同組となったときの話がある。

画像: 2位に8打差をつける圧勝で、98年の中日クラウンズを制した

2位に8打差をつける圧勝で、98年の中日クラウンズを制した

「日本には凄いプレーヤーがいるね。それはスギハラだよ」と印象を残しただけでなく、「日本に行ったらスギハラのプレーを見て勉強しなよ。ただし、練習場では意味が無い。一度でいいから、米ツアーの試合に出してみたい」と帰国後、仲間たちに言ったのは、有名な話である。

ゴルフゲームが総合力で成立しているということを、身を持って実証している選手だ。(文・三田村昌鳳)

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