ツアーで活躍するトッププレーヤーたちは、“1流"と呼ばれるようになってからでも、さらなる高みを目指して、スウィングを改造をしたり、パターの握り方を変えたりすることがあります。もちろん、それはいい結果に結びつくこともありますが、調子を崩してしまう危険も伴います。
プロはもちろんのこと、アマチュアでもそれぞれ「持ち球」ってありますよね。ラウンドでは、状況によってドローとフェードを打ち分ける必要があり、飛距離を追求する過程でスウィングを改造して、持ち球が変えたという人も多いでしょう。
しかし
本来の持ち球とは逆の球筋を持ち球にしようすることは大変危険なことなんです。
例えば、ドローボールを打つには切り返しで「間」がなければいけません。テークバックで深く捻転しながら、ダウンスウィングに入る動きが必要です。つまり、右に身体が回りやすい人が適しているのです。
それを右への柔軟性が低い人が、強引に「間」を作り、右ひじを無理やりたたんでクラブをインサイドから下すとうことは、スウィングリズムが悪くなり、余計な力みを生みます。身体にとって、不自然な動きとなり、怪我の原因にもなります。
ただ、ツアーで戦うプロは弱点の克服、コースセッティングへの対応のため「持ち球」を変えざるを得ないことがあります。そこで今回は「プロの持ち球改造エピソード」をご紹介します。
フェードを目指した ジャンボ尾崎
尾崎将司プロは日本のコースに合わせてスウィングを作っていき、身につけていきました。理想はストレートフェードとしていたのですが、年齢とともにトップが低くなりひどいフックボールに悩まされました。
尾崎プロは「高いトップを保つこと」が、ストレートフェードを打つには欠かせない要素であると考えました。年齢を考えても、1度崩れたものを取り戻すことは難しいと思われましたが、相当な練習量により見事克服したのです。
膨大な量の球を打ち続けた 青木功
ひどいフック持ちだった青木プロ。同級生・鷹巣南雄プロに手伝ってもらい、フェードに変えたのです。しかしその工程は大変で、2人で鹿野山に40日間の合宿を行ったのです。クラブをフェードグリップで握った状態を手拭いで固定し、毎日膨大な量の球を打ち続けました。
鷹巣プロ曰く、「フックをスライスに変えるのは、スウィングを180度変えるようなもの。それで勝てなくなっても知らないぞ」といわれたほど。持ち球を変えることは、ゴルフ人生を左右するひとつの賭けでもあるんですね。
マスターズのために持ち球を変えたプロたち
伊澤利光プロは、マスターズではドローが必要であることを実感しました。しかし、伊澤プロは本来の持ち球はフェード。結果、コントロール性を失うことになりました。それ以降、伊澤プロは無理にドローを打つことはなかったそうです。
また天性のフェードヒッターである藤田寛之プロもマスターズ用にドローに挑戦した1人です。現在はフェードに戻していますが、ドローを習得するために相当な時間を費やしました。
トッププロでさえ持ち球を変えることは、大変なこと。やはり僕たちアマチュアは、無理に向いていない球筋を練習するよりも、自然にある自分の持ち球を磨く方がいいみたいですね。