FILE1 キャディさんのあのカッコ、あのサービス誰が決めた?
ほおかむりに事務服、外人涙の感動ヤマトナデシコサービスは日本だけ。
本当はキャディなんていなくてもゴルフは十分楽しめる。でもプロの試合を見ると選手はみんなキャディ付きでプレーしているし、そうなると一般のゴルファーもキャディを付けたくなるのか、あるいは付けて当然と考えているゆえか、キャディ付きのプレーを要求するゴルファーが非常に多い。
本当はゴルフ場側は、人手不足や人件費削減のためにキャディを雇わないで済むならそうしたいところなのだが、要求がある以上は雇わなければならない。そして客にサービスするための教育をする。
ゴルフ場の従業員の中でもっとも長く客と接するのはキャディであり、キャディ次第でゴルフ場の印象は違ってくるものだから、このキャディ教育は絶対に欠かせないものだ。
その結果がどうなるかというと、バッグを選び、距離を読み、クラブを渡し、ボールを拭き、ラインを読み、ピンを持って立ち、バンカーならし、ティボット跡を埋め、時にアメ玉をくれたり、ミスショットをなぐさめたり、世間話のひとつでもして気分転換を計ってくれたりと、そこまでしなくてもいいと思えるようなサービスまでしてくれるようになったわけだ。
要するに、本来の意味でのキャディではなく、ゴルフ場のサービスのためのホステス役となっている、と言ったら言い過ぎだろうか。
しかしその割には本人たちだけヘルメットをかぶり、危険防止策をとっているのは腑に落ちないと思わないか。同じようにコースに出ているのだから、プレーヤーだってヘルメットをかぶってプレーするのがスジだし、それをプレーヤーに要求できない以上、キャディだってヘルメットをかぶるべきではない、という意見が出てもおかしくはないはずだ。
何となくチグハグしたものを感じる、というのが日本のキャディシステムであるが、それを求めたのが我々だということを一度じっくり考えてみる必要があるかもしれない。
<1995年月刊ゴルフダイジェスト2月号 抜粋>
FILE2 ワングリーンってどうしてあんなにでかいの?
一戸建てが10軒以上建つ広さが本当に必要?
グリーンは本来ワングリーンであるべきだが、これまで日本のゴルフ場はベント芝のグリーンとコーライ芝のグリーンの2つのグリーンを持つゴルフ場をつくってきた。
理由は、日本の気候的風土とメンテナンスの技術の未熟さゆえである。高温多湿に弱いベントは冬に使用し、夏はコーライを使用する。これで一年中プレーが楽しめるわけだ。
しかしグリーンの構造の改良やメンテナンス技術の向上によって、いままでは南国鹿児島のゴルフ場でさえサンド・ベントのワングリーンを採用するようになっていることでもわかるように、ここ95年前後は、新たに開場したゴルフ場のグリーンは、ほとんどがワングリーンである。
が、しかしそのワングリーンは巨大さのために、必ずしもゴルファーの好意をもって受け入れられるとはいえない。グリーン上にボールをオンさせても、3パットや4パット続出では、つまらないのだ。
ではなぜワングリーンはこれほどまでに巨大なのだろうか。70㎡だそうだ。
実は、ひとつのグリーンを年間通して使用するとなると、芝の痛みが激しいのだ。となると、小さい面積のグリーンより大きい面積のグリーンの方が痛みが分散され、それだけ使用に耐えられる。だからワングリーンは巨大になったのである。
ところがゴルフ場の中には巨大さを自慢するところがある。これは完全にカン違いしているわけで、巨大であればあるほどショットバリューがそこなわれてゴルフをつまらないものにする。ペブルビーチGLが何故名コースかというと、グリーンが小さいからだ。そのことをしっかり頭に入れておこう。
写真/阿部了
<1995年月刊ゴルフダイジェスト2月号 抜粋>