直木賞作家の三好徹がアマチュアゴルファーのカリスマである中部銀次郎と対談。中部のゴルフ哲学の神髄が散りばめられた対談集、【ゴルフの大事】
アマチュアとしていかにゴルフを楽しみ、心技体を磨いていくのか?その疑問に答える要素が詰まっています。
そんな本書より、頭が動かないスウィングとは何なのか?について
中部が語った部分を特別にご紹介します。
スウィングで「頭を動かさない」ためにすべきこと
三好 私は、中部さんのスウィングを見ていると、インパクトの瞬間というのは、頭はむしろ飛球方向とは反対方向に動いていると思うんです。
中部 私が思うに、日本中、あるいは世界中の技術書や解説書で、どの本を読んでも、どの人に聞いても、共通した理論というのが、ふたつあるんです。というより、むしろ、ふたつしかないといってもいいでしょう。
三好 それは、なんですか?
中部 「頭を動かすな」「テークバックで右に流れるな」これだけなんですよ。つまり、これだけというのは、このふたつがいかに大切かということを指しているし、このふたつをしっかり守れればきちんとしたスウィングはできるということですね。
三好 アドレスをするときにボビー・クランペットは、20数か所のチェックポイントを持っていると、なにかの本に書いてあったけど、あれはナンセンスですね。
中部 前にも言いましたが、僕は3つですね。
三好 それは、どういうチェックポイントですか?
中部 まず頭の角度。これは前後、左右の傾き加減です。次に背筋の伸び具合。そして、ひざの折り具合。
これが私のアドレスチェックです。
例えば、頭。これは一番大切な部分で、特に私の場合、背中が丸まって頭が前に落ちすぎていると、まずいいショットは出ない。コスリ球になったり…。必ずヘッドの先に当たる。だからもし、前に頭が落ちすぎているなら、なんとかして持ち上げよう、元の自分のあるべき位置に頭を戻そう、と努力、調整するんです。
これがなかなかできないんです。特に練習量が足りないと、余計大変。
三好 私たちは、頭の前後、左右のことを考える前に、まずどうしたら頭が動かないかを考えるレベルですからね。まず、中部さんに、そこから聞きたい。
中部 繰り返し言いますが、どうしたらこうなる、じゃないと思うんです。みなさんがゴルフのスウィング、あるいはゴルフを考えるときに、いつもそこから難しくなるんだと思うんですよ。
あれこれ理論が多すぎて、頭の中でその理論が膨張してしまっているんですよ。だからどうしたら頭を動かさないでスウィングできるかを考えないで、逆にまず、どういう状態が頭が動かないことなのかを考えるんですね。
つまり、物理的、肉体的に頭が動かない状態がこういうものである、ということを知るんですよ。そして、覚えさせるんです。
それが出来た上で、スウィング練習をすれば、その感覚、つまり、どういう状態が頭が動かないことなのかを知っているわけですから、追い求めやすいわけなんですね。
その感覚を知らないで、頭を動かさないようにしよう、止めよう、という意識ばかり先に働くから、頭が下へ向き過ぎたり、そのためにトップで頭が落ちて打つからダフったりといろいろ出てくるわけですね。
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