ケンジロウです。ヒューストンからお届けしています。
なぜヒューストンかって?ブラジルのリオからの帰り道で、飛行機の乗り継ぎです。ここまで約10時間のフライト、そしてこれから成田まで約14時間の長旅です(;´Д`)
しかも成田からの飛行機が台風の影響で遅れたため、こちらの出発もかなり遅れています。まぁ原稿書けていいんですけどねぇf^_^;)
さて先週までの2週間、男女ゴルフのオリンピック競技を取材してきました。
実際に競技が終わって、112年ぶりのオリンピック復活が、果たして成功だったのか否か?改めてちょっと考えてみました。
まず正直に驚いたことが、男子競技の最終日にチケットが完売したことですね(^-^)/
いくら100レアル(3300円ぐらい)と安かったからとはいえ、ブラジル国民にとってあまりメジャーでないスポーツであるゴルフのチケットが売り切れたということに、注目度の高さがうかがえました。
実際に最終日には多くのギャラリーが詰めかけ、ジャスティンとステンソンの激闘の展開を固唾をのんで見守っていました。カメラのシャッター音で選手を悩ませていたギャラリーの観戦マナーも、日に日によくなっていましたよね。
4月にアダム・スコットが早々と参加を辞退し、そこから芋づる式に辞退者が増えていった今回のオリンピック。
マキロイ、デイ、スピース、ダスティンなどなどが相次いで参加を辞退し、それだけのメンバーが出ないストローク戦で、果たしてその優勝の金メダルに価値があるのか?と言われていました。でも、実際に競技を終えたいま、そんなことを言う人はもはやいなくなりましたねf^_^;)
「メジャーとオリンピックは比較できない。オリンピックは国を代表した戦いで、メジャーとはまた違ったビッグイベントだった。オリンピック出場を辞退した人たちは、それぞれ理由はあるだろうけど、家でくつろぎながらこの成功に終わったオリンピックをテレビで見ていたら、絶対にこのメダルが欲しかったって思うだろうね。みんな栄光をつかむのに貪欲な選手ばかりだからね。でもそれには彼らもあと4年待たなければいけないんだ」
金メダルを獲った翌日の会見で、ジャスティンはこのように述べました。
そして続けます。
「僕が金メダルを獲って、たくさんの人がお祝いのメッセージをくれた。中にはゴルフにまったく興味が無かった人もいたからね。金メダルを獲ったことで、ゴルフも他の競技のアスリートたちが成功しているスポーツと同じような競技として認識してくれたのかもしれない。ゴルフのすそ野が広がったのは間違いないよね。国を代表して戦うっていうのは、すごく興奮するよね。イギリスの金メダルの数を自分がひとつ増やしたってことは、すごく誇りに思えるね」
普段は賞金を稼ぐためにプレーする彼らが、何の報酬もあてにせず、国のためにメダルをかけてプレーをする。
彼らにとって国を代表して戦う試合と言えばライダーカップ、プレジデンツカップ、ワールドカップなどもあるが、オリンピックの注目度はその比ではないですからね。普段ゴルフにまったく興味がない人まで関心を持つのはすごく大きな意味があります。
あのジャスティン・ローズの優勝を決めた瞬間の気合のこもったガッツポーズ。まさに国の代表として戦っていたからこそ、あそこまでエキサイトしたのでしょう。
カメラを撮っていた僕もあのときの興奮は一生忘れられません。しばらく鳥肌が立ったままでした。
日本を代表して戦った片山晋呉は、試合の前に「オリンピックを通じてその良さをたくさんの人に伝えたい」と語っていました。多くの人が注目しているからこそのこの発言だったと思います。
最終日を迎える前に不甲斐ない成績に対しての“謝罪ツイート”をしたのも、日の丸を背負うことの自覚を日に日に感じていたからだろうと思います。永久シードを持つ百戦錬磨の片山晋呉ですら、やはり国を代表することのプレッシャーを感じていたのです。
こちらがそのツイート⤵
女子の最終日に野村がスコアを伸ばして“クラブハウスメダリスト”になったとき、普段はゴルフの取材に来ないようなスポーツ紙の記者が多くゴルフ場に駆け付けたのも、やはりメダルをとることの日本での注目の高さがうかがえるシーンでした。男子の最終日にはここまで多くの日本メディアは集まりませんでしたからね。
野村がメダルが獲れるかもしれない、ということで慌てて駆け付けたのだと思います。メディアが注目するということは、日本でそれをニュースなどで目にする人が増えるということ。
ジャスティン・ローズが金メダルを獲ることでゴルフのすそ野が広がったという発言をしていました。その比ではありませんが、野村の最終日の頑張りは、日本のゴルフ界に大きな価値をもたらしたかもしれませんね(^-^)/
今回のオリンピックの価値というものは、終わった直後の現段階ではまだハッキリとした答えは誰も持っていないと思います。質のいい蒸留酒が時間をかけてじわじわと作られていくのと同じように、五輪の価値も徐々に醸成されていくのではないかと感じました。
今回出場を辞退したトップ選手は、みんなオリンピックに出たかったことでしょう。松山英樹もおそらくその一人。東京オリンピックでは彼が活躍して、日の丸の国旗が上がるのを見てみたいものです(*^^)v
もうひとつ、今回のオリンピックで、触れておかなければならないのは、開催コース「オリンピックゴルフコース」です。
何度も報道されているかもしれませんが、このコースは「オリンピックレガシー(遺産)」として、ブラジルの国民にゴルフを根付かせる目的で作られたもの。オリンピックが終わったあとむこう10年間は、パブリックコースとして一般の人に開放します。
単に一度大会をやってから風化させるのではなく、その後の“遺産”としての活用を考えていたわけです。
自然のありのままの姿を変えずに造成されたコースでもあり、元々海沿いの自然保護区に作られ、コース内には様々な生き物や植物が生息しています。カピバラやワニやフクロウなどの写真は皆さんもご覧になったかと思います。
バンカーの砂も新しいものを入れたのではなく、そこにある砂を使っているんです。ですからホールによって、バンカーの質感が違う。丸山コーチによれば、4種類ぐらいの砂質があると言っていました。
もちろんコースとしての難易度の高さもあり、それは世界ランキングの高い選手が男女とも優勝したことからもうかがえることでしょう。
東京オリンピックは霞ヶ関CCに決まっていますが、果たして「レガシー(遺産)」として考えたときに、一般の人が簡単にプレーできない“カスミ”がそのコースとしてふさわしいのか。オリンピックの開催後に、一般の人でも回れる企画などを考えてほしいものですね。
さて、最後に投票です、皆さん今回のオリンピック、ゴルフ競技は成功に終わったのか否か、投票してください。現場で取材していた僕は成功だったと思うんですがね…、皆さんの意見をお聞かせください!(^^)!