QTとは「クォリファイングトーナメント」の略
2016年度の賞金シードをギリギリの50位で獲った金田久美子と、51位でシードを得られなかった茂木宏美の差は3万384円。このシード落ちした選手たちが出場するQTは過酷だと言われている。
2017年の樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメントで初優勝を飾った永井花奈も2017年は賞金シードではなくQTランキング14位の資格でレギュラーツアーに出場していた。この「QT」とは一体何なのだろうか。
それはシード権を持たないプロやアマチュアが、翌年のツアー出場の優先順位をかけて争うトーナメントのこと。ファーストからの挑戦者にとっては、セカンド、サード、ファイナルを経てQTランキング獲得へと進む勝ち抜き戦。シードを獲得できなかったプロにとって、翌年のツアーへの出場回数を左右する大事なものだ。
順を追って説明しよう。
ファーストQT
出場資格
①LPGAティーチングプロフェッショナル会員(A級)
②LPGA会員1名の推薦を受けた者(推薦資格者は2009年8月入会以前の者)
③海外のゴルフ協会、もしくは海外のプロゴルフ協会の推薦を受けた者
④国内のゴルフ場責任者、もしくは国内のゴルフ練習場責任者の推薦を受けた者
B.上記A以外でLPGAが承認した者
競技方法
①54ホール ストローク・プレー(3日間競技、各日18ホール ストローク・プレー)
②18ホールで競技成立とするが、期間中に18ホールを消化できなかった場合は、別途日程を定め競技の成立を図る。
セカンドQTへの進出条件
①各会場とも出場人数の20%タイまでの者がセカンドQTに進出する。但し、出場総数が500名を超えた場合は、セカンドQTへの進出人数は3会場合計で100名を上限とする。
②各会場からの進出人数は、各会場で第1ラウンド全組スタート終了後に掲示にて発表する。但し、出場総数が500名を超えた場合は、各会場からの進出人数の目安を第1ラウンド全組スタート終了後に掲示し、セカンドQT進出者は全会場の競技が終了次第決定する。
ちなみに、2016年は3会場で3日間のトータルスコアが201~224の66人が通過した。201といえばパー72で15アンダーというスコア。このレベルを維持し続けてファイナルまで行くのは、体力的にもメンタルにおいても過酷なもの。この時点で、ハイレベルな争いであることがわかる。
セカンドQT
出場資格
①LPGA会員(本年度LPGA最終プロテスト合格者を含む/ティーチングプロフェッショナル会員〈A級〉は除く)及び2015年度TPD単年登録者、TCP登録者
②ファーストQT通過者
B.上記A以外でLPGAが承認した者
競技方法
①54ホール ストローク・プレー(3日間競技、各日18ホール ストローク・プレー)
②順位がタイの場合は「第3ラウンドのスコア→第2ラウンドのスコア→第3ラウンドの18番ホールからのカウントバック」により順位を決定する。
③18ホールで競技成立とするが、期間中に18ホールを消化できなかった場合は、別途日程を定め競技の成立を図る。
サードQTへの進出条件
①競技終了時点で各会場上位者がサードQTに進出する。
②各会場からの進出人数の目安は、各会場で第1ラウンド全組スタート終了後に掲示にて発表する。
③サードQTへの出場人数最終決定は、「大王製紙エリエールレディス」終了時点とする。
出場資格者は、ファーストQTを通過した者と、今年のプロテストに合格した者、樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント終了時点の賞金ランキング71位以下で本年度シードがないプロたちとなる。
ちなみに2017年のプロテスト合格者の中で、ステップアップツアー優勝者はセカンドQTは免除され、サードQTからの出場となる。ルーキーたちにとってステップアップツアーでの優勝は大きなアドバンテージだ。2017年で言うと、勝みなみ、金澤志奈、吉本ひかるがそれにあたる。
サードQT
出場資格
①2016年度LPGAステップ・アップ・ツアー優勝者
②2016年度「樋口久子 Pontaレディス」終了時点のLPGA賞金ランキング上位70位迄の者
③セカンドQT通過者
競技方法
①54ホール ストローク・プレー(3日間競技、各日18ホール ストローク・プレー)
②順位がタイの場合は「第3ラウンドのスコア→第2ラウンドのスコア→第3ラウンドの18番ホールからのカウントバック」により順位を決定する。
③原則として54ホールで競技成立とするが、予備日を使用しても54ホールを消化できなかった場合のみ、36ホールで競技成立とする。
ファイナルQTへの進出条件
①競技終了時点で各会場上位者がファイナルQTに進出する。
②各会場からの進出人数の目安は、各会場で第1ラウンド全組スタート終了後に掲示にて発表する。
出場資格の詳細は、セカンドQT通過者、ステップアップツアー優勝者、樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント終了時点の賞金ランキング70位まで。
シード権のない選手にとっては樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメントで70位までに入ることがひとつの目安だ。
ファイナルQT
出場資格
①2016年度LPGAシード選手で2017年度のシード権を獲得できなかった者
②2016年度「大王製紙エリエールレディス」終了時点のLPGA賞金ランキング上位50名(永久シード選手を除く50名)の次点者で、永久シード選手及び複数年シード
選手を除く上位5名の者(※欠場があった場合も繰り上げは行わない)
③2016年度LPGAツアー優勝者で2017年度のシード権を獲得できなかった者
④サードQT通過者
競技方法
①72ホール ストローク・プレー(4日間競技、各日18ホール ストローク・プレー)
②順位がタイの場合は「第4ラウンドのスコア→第3ラウンドのスコア→第2ラウンドのスコア→第4ラウンドの18番ホールからのカウントバック」により順位を決定する。
③原則として72ホールで競技成立とするが、予備日を使用しても72ホールが消化できなかった場合のみ、54ホールで競技成立とする。
出場資格の詳細は、サードQT通過者、2016年度シード選手で2017年のシードを獲得できなかった者、2016年度大王製紙エリエールレディス終了時点で賞金ランキングが51位~55位までの者だ。
以上の経緯を経て決まったQTランキングをもとに、翌年のツアーにどれくらい出場できるかが決まってくる。
ファイナルQTまで勝ち残り、ツアー出場権を勝ち取るのがどれほど大変か、お分かり頂けただろうか。QTランキングは翌年に出場できる試合数に大きく影響するため、たった1打が1年を左右することもある、とても厳しい戦いだ。
こんな仕組みがわかると、トッププロのすごさとともに、下位の選手の頑張りが分かるのではないだろうか。1打1打の重みを受け止めて一生懸命頑張る姿を応援したい。