「地クラブ」といえば、“マニアック”、“マイナー”というイメージもありますが、大手メーカーのものに優るとも劣らないその性能は、今も昔もプロが注目するほどです。
ギアにこだわる上級者ゴルファーに地クラブを使っている人が多いのは、大手メーカーものにないニッチな「こだわり」が隠されているからです。ひと昔前に比べて、雑誌でも取り上げられることが多くなった「地クラブ」ですが、その人気のきっかけを作ったとも言うべき“伝説の地クラブ”が「カムイプロ300」でした。
「カムイは飛ぶらしい」ネットのない時代に口コミで広まった
まだインターネットが普及していなかった20年以上前、「カムイって飛ぶらしいよ」という口コミがゴルフ界に広まりました。中部地方のシングルが競技で使い始め、その試合を通してその飛距離性能がじわりじわりと広まったのです。
カムイはいつの間にか全国区に名前を轟かせることになりました。アマチュアに端を発する「カムイは飛ぶらしいよ」という口コミはプロにまで届き、シニアや女子ツアーの試合でもカムイを使う選手が出てきました。
鍛造チタンである「カムイ300」は、鋳造ほど正確に同じヘッドは作れませんでした。しかしその誤差を逆手に取り、それぞれの工房で組み付ける際にフェースの向きを調整できるようにしたのです。自分の好みがはっきりしている上級者は、これに飛びつきました。大手メーカーが製品の均一性を図る中で、ひとつひとつ顔が違うパーシモンを作ってきた感性が「カムイプロ300」に生かされたのです。
秘めたポテンシャルが認められ、、地方から全国へ、カムイはゴルフ界の真ん中に割って入り、人気を博したのです。「カムイプロ300」の功績は、現在ある様々な地クラブメーカーに多大な影響を与えたことでしょう。
※月刊ゴルフダイジェスト2013年8月号より