「今回の日本オープンのセッティングでは曲げるとパーオンは非常に難しくなります。500ヤード近いパー4が3番、7番、10番、18番と4ホールあるので、ラフ入った場合にレイアップしていかにパーでしのげるかの勝負になりそうです。そして、たとえボギーを叩いても、気持ちを切らさずに受け入れることができるかが今週の勝負のカギになるでしょう」(中村修、以下同)
「つまり求められるのは正確なティショットと、巧みなコースマネジメント、小技、さらには折れない心……結局はゴルフの総合力を問われる。それがナショナルオープンなのです」
なんといっても「PGAツアー三人衆」は外せない
「まずは松山英樹。調子が上がらないと本人は言いますが、米ツアー参戦3年目のシーズンを終えて成績も上がって来ている(2015-2016シーズンはランク13位)のはゴルフの『底のレベル』が上がって来ている証拠。常に世界のトップ選手と戦う中で、自分の理想も高くなった上での“調子が上がらない”という言葉だと解釈します。最終日には優勝争いに絡んでくる可能性大です」
「続いては、アダム・スコットです。世界ランキング6位の強さはそのショット力。シーズンを通したパーオン率は3位(70%)。ストロークゲインド:ティ・トゥ・グリーン(ティからグリーン到達までのプレーで他のプレーヤーの平均よりどれだけスコアをよくしているか)は堂々の1位。つまりショット力は世界一と言っても過言ではありません。あとはパッティングさえ決まれば世界ランクNo.1の可能性も見えてくるほどのプレーヤー。練習日でのスウィングを見る限り、多少のフックの度合いが強かったりと不安はあるものの、やはり上位に進出する可能性は大きいでしょう」
「狭山GCではラフに入れないのが最大のアドバンテージになりますが、冒頭に挙げたように長いホールが多いので、飛距離も欲しくなるところ。飛ばしたい、でも曲げたくない。石川選手の場合、その心のバランスを制御できるかにかかってくるでしょう。今季好成績を挙げたコースとの大きな違いはラフの深さ。多少曲げても飛距離を優先させたアグレッシブなマネジメントでは、今週は通用しません。石川選手はショットも上手い。小技も上手い。優勝できるかのカギは、ドライバー次第です」
「国内組」は片岡大育に期待! ダークホースは「あの男」
「国内ツアー組でもっとも期待したいのが片岡大育。東海クラシックで優勝した調子の良さもさることながら、フェアウェイキープ率がシーズンを通して4位。飛距離は出ませんが、パーセーブ率8位、平均パット3位の耐えるゴルフで最終日にはいつの間にか上位に顔を出しているはず。我慢比べになれば、チャンスがあると思います」
「片岡に次いで期待したいのが、現在賞金ランク1位の谷原秀人。平均ストローク1位、平均パット、パーオン率、バーディ率は2位と部門別データを見ても極めて優秀です。ホストプロを務めた前週のホンマツアーワールド杯では20位と、気合が空回りした感がありますが、日本オープンで今季3勝目を挙げる準備はできているでしょう」
「昨年のチャンピオンの小平智、今シーズン調子は悪くないものの成績がいまひとつついてきていません。ただ、飛距離があって曲がりが少ないのが特徴の選手で、コースセッティングにゴルフが合っています。ボギーを受け入れて気持ちを切らさなければチャンスは十分。“日本オープン男”になれる可能性を秘めています」
「最後に、前週のホンマツアーワールド杯で最終日に『65』でまくってスコアボードを駆け上がった片山晋呉を、ダークホース的に挙げたいと思います。ホンマでは最終的には1打及ばず3位タイで終わりましたが、調子が上向いている証拠。狭いFW、深いラフのセッティングには燃えるタイプなだけに不気味な存在です」