粘りのゴルフで調子が悪くてもスコアを守った松山
「初日は、大きな話題となった松山英樹、石川遼、アダム・スコットの組についてコースを歩きました。3人とも、調子がいいとは言い難いラウンド(松山15位T、石川61位T、アダム75位T)でしたが、そんな中でも見ごたえのあるプレーを見せてくれました」
「まずは松山選手ですが、フィニッシュが崩れる場面があったりと、ショットの調子が良くないなかで、アプローチとパターでしのいでのワンオーバーは流石で、米ツアーで鍛えた『底力』を感じました」

グリーンを外しても寄せる。たとえ寄らなくてもパットをねじ込む。粘りのゴルフは、さすが世界の松山
「また、練習ラウンドで念入りに繰り返していたグリーンを外した場合の奥からアプローチを、実戦でも使っていたのが印象的。それだけ事前のゲームプランが緻密だということで、このあたり松山選手の『準備力』の高さを感じさせます。首位とは5打差。明日以降、その差を徐々に縮めていきそうな気配です」

練習ラウンドで繰り返したアプローチを実戦でも使用。見事な準備
プレーを楽しんだ石川遼
「石川遼選手に関しては、一番ホールではこちらにも伝わってくるほど緊張しているのが見て取れました。日本オープンは彼にとって悲願のタイトルであり、最終的に1万人を超えたギャラリーがこの組に集中したので、さすがの遼くんといえども上手く体が動かなかったようです。ティショットを大きく左に曲げ、林の中へ。そこから上手く乗せてパーセーブして、ようやく人心地ついた、という様子でした」

1番ホール。ティショットを大きく曲げた石川だったが、林の中からパーオンに成功し、パーをセーブ
「遼くんのプレーで印象的だったのは、基本的には“出すだけ”しかできない長く伸びたラフの中から、フェースを返さない打ち方で球を低く抑え、130ヤードくらいを上手く転がし寄せたりと、技術を使っていたところです。練習場では調子が良かったそうで、実際5オーバーというスコアほどには悪いゴルフをしていません。こちらも、明日以降に大いに期待したいですね」

ドライバーショットでクラブを短く握るなど、工夫を凝らしていた石川
ショット、レイアップ、パット……ゴルフが噛み合わなかったアダム・スコット
「今日はゴルフがかみ合わなかったのがアダム。ティショットの飛距離は松山、石川がほぼ同じで、アダムがそれより平均して10ヤードほど飛んでいましたが、ほんのわずかだけクラブがスウィングプレーンから外れているのか、左にいったり、右にいったりと、ボールが散っていました」

グリーンは速く、グリーンの傾斜は複雑。アダムはショートするケースが多く見られた
「さらに、ラフからレイアップしたボールがまたラフに入ったり、グリーン上のタッチも合わなかったりと、なかなか自分のゴルフをできていないという印象でした。狭山GCはとにかくラフに入れないことがスコアメークの鍵。さりとて、距離があるのでドライバーを持たざるをえないホールが多い。ショットメーカーの彼が出遅れを取り戻すには、ドライバーの安定が必須条件となるでしょう」
「まだまだ初日が終わったばかりの日本オープン。サンデーバックナインにどんなドラマが待っているのか、読者のみなさんとともに楽しみにしたいと思います」