トウが上を向くパターで真っすぐストローク
デシャンボーといえば、過去にニクラス、タイガー、ミケルソン、ライアン・ムーアとレジェンドクラスの選手たちしか達成していない全米アマと全米学生選手権の二冠を2015年に達成し、2016年のマスターズで大活躍した直後にプロ転向したアメリカ期待の星。
アイアンのシャフトをすべて同じ長さに揃えるなど、独自のクラブ理論を持っていることでも知られる。今回は、個性的な彼のセッティングの中から、パターをピックアップしてみたい。
さて、ためしにお手持ちのパターのシャフトを手のひらに乗せてバランスをとってみてほしい。フェース面はどこを向くだろうか? フェース面が空を向いたらそれは「フェースバランス」といって、マレット型に多く見られる、フェース面をまっすぐ動かしやすいタイプ。斜め上を向いたら「トウヒールバランス」で、これはフェースを開閉しやすいパターということになる。
さて、ゴルフの科学者・デシャンボーはというと、トウが空を向く「トルクバランス」のパターを使用しているのだ。イーデルゴルフの「ブリック」というパターで、フェースの開閉がほとんど起こらないのが特徴。ストローク中にフェースを真っすぐに動かしたいタイプにはマッチします。
暗くなっても練習が終わらない
さて、デシャンボーはそんなパターを使って、どんな練習をしているのだろうか。まずはグリーン上の傾斜を測り、ゴムの糸を張る。ヘッドの幅にティを刺してストロークの正確性を高め、そのすぐ先にはボールの幅にティを刺して、出球の方向性も厳密にチェックしている。
その上で、様々な距離を繰り返し繰り返し練習することでストロークのチェックと傾斜とタッチに対してどれくらいボールが曲がるのかを綿密にチェック。カップを狙う練習はほとんどしていなかった。その姿は、たしかにグリーン上のゴルファーというよりも実験室の科学者といった印象だ。
間もなく開幕するブリヂストンオープン。「みんなのゴルフダイジェスト」では、引き続き科学者・デシャンボーに注目していこうと思う。