2016年の「ブリヂストンオープン」は、初日の91位という大幅な出遅れから2日目66、3日目に62と爆発した小平智が最終日も67にまとめてトータル14アンダーで今季初優勝を飾りました。歴史的大逆転勝利を遂げた小平のスウィングを、プロゴルファーの資格を持つ編集部員中村修の解説でお届けします。
見習いたい! どっしりと地面を踏みしめるアドレス
アドレスに”張り”があります。柔らかいゴムではなく、ある程度硬いゴムをねじるような準備ができています。両ももに張りがあって足の裏がどっしりと地面を踏みしめています。グリップはオーソドックスなスクェアグリップ、頭はボールの右側にセットされ、ビハインド・ザ・ボールの意識をアドレスから感じさせます。
胸の前で遠くに上げるバックスウィング
両腕を胸の前にキープしたまま、体から遠くに上げていきます。この動きでバックスウィングできるのは、背中や腰回り、右サイドの下半身が強い証拠です。ツアープロの中では身長の高いほうでない小平選手が290ヤードに迫るドライビングディスタンスを誇る源になっているポイントです。
硬いゴムがねじられたような張りのあるトップ
右足と右の股関節で体重を受けながら、しっかりと地面を踏みしめています。両肩が前傾した角度の通りに90度以上ねじられていて、腰周りから背中の筋肉が伸ばされて張りのあるトップを作っています。このバックスウィングができれば飛距離は出ますが、アマチュアの方は真似する際にはケガに十分注意してください。普段からトレーニングを欠かさないツアープロだからこそできるねじりの強さといえるでしょう。
右軸で切り返すダウンスウィング
ダウンスウィングでは左足で地面を踏み込んではいるものの、左への移動は少なく右に軸を残したまま回転しています。ポイントは頭の位置です。トップで作った右軸の上に頭を置いたら、そのままキープして切り返します。そのために、”タメ”が強くなり過ぎずに浅くシャローな入射角でクラブヘッドが下りてきます。
左足が浮く「ラビットインパクト」
インパクトでジャンプする動作が入るのは、右に軸を残しながら頭が後方にキープされているからです。ビハインド・ザ・ボールを守り、クラブヘッドと引っ張り合うように使うことで加速させ、浅く長いインパクトゾーンを実現しています。バランス感覚と効率よくヘッドスピードを上げるセンスが抜群ですね。
柔軟性を感じるフォロー
バックスウィングからインパクトは体の強さを感じますが、フォローでは筋肉の柔軟性を感じさせます。前傾角と頭の位置がこの画像の時点でもまだキープされています。起き上がらずに振り抜けるということはクラブヘッドの軌道が前傾角の通りに振り抜かれているということ。オンプレーンのまま左に振り抜けているということでもあります。強く振っても方向性がよいのは、この前傾角をキープしたまま振り抜ける柔軟性に秘訣があります。
手もとが頭から遠いフィニッシュ
右軸をキープしたまま大きく振り抜いたフィニッシュです。クラブヘッドがターゲット方向まで回し込まれているのはインパクト後もヘッドが加速状態で振り抜かれた証拠です。手元が頭から遠いのはスウィングアークが大きく描かれたことを表わしています。インパクトに力が入ってフィニッシュが小さくなる人は、方向性も悪くなりますので、手元を頭から遠くに収まるように意識するだけでも効果があります。
ドライバー連続写真
体の強さと柔軟性、抜群のバランス感覚で方向性と飛距離を兼ね備えたスウィング。アマチュアが真似すべき点は、右軸で切り返す点です。体が左へ突っ込んでフォローが小さくなる人やインパクトで力が入って極端なカット打ちになってしまう人は、トップで右軸の上に置いた頭の位置のまま切り返してダウンスウィングしてみて下さい。
”明治の大砲”になるようなイメージですが、手元が頭と遠くなるフィニッシュを意識すれば、体もしっかり回って大きなフィニッシュになります。体にある程度負荷のかかるスウィングなので、十分な準備運動をして6割くらいのスウィングから始めて下さいね。