プロとして飛躍するきっかけは、“ゴルフ界のドン”杉原輝雄
関西出身のゴルファーと言えば、現在レギュラーツアーで活躍する藤本佳則や谷口徹、女子では森田理香子、遡れば元賞金王の前田新作などがいる。その中で最も存在感が大きいのは、やはり“ドン”杉原輝雄だ。
![画像: 杉原輝雄。レギュラーツアー通算54勝(73年のツアー制施行後28勝)。井戸木と同じ大阪・茨木市出身。2011年に亡くなるまで「生涯現役」を貫いた。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782728/rc/2016/11/02/1cc0b99d68b08a7e0f8f9a07c2b77d819778f767_xlarge.jpg)
杉原輝雄。レギュラーツアー通算54勝(73年のツアー制施行後28勝)。井戸木と同じ大阪・茨木市出身。2011年に亡くなるまで「生涯現役」を貫いた。
杉原の姿を見て育った関西出身のプロゴルファーも少なくない。井戸木鴻樹もそのひとりだ。関西の名門コース、茨木CCで研修生となり、21歳でプロに転向。勝てない日々が続いたが、24歳のとき、杉原一家の合宿に参加したことをきっかけに成績が上がる。
身長167センチの井戸木は、162センチの杉原と同様に体格に恵まれた選手ではない。合宿では、いわば“同タイプ”の杉原から多くを吸収したのであろう。28歳で迎えた1990年「関西プロ選手権」では、その杉原を逆転して初優勝を飾った。
関西から全国区のプロゴルファーに
関西では長年ゴルフ番組に出演しており、「ドッキー」という愛称で親しまれ、アマチュアゴルファーから絶大な支持を得ていた井戸木。そんな彼も13年「全米シニアプロ」を制したことで、全国区の選手となる。
日本人選手では青木功が同ツアー(チャンピオンズツアー)で9勝を果たしているが、メジャー大会を制したのは井戸木が初めて。「ノーコック打法」と呼ばれる飛距離よりも正確性を重視したスウィングで、レギュラーツアー時代からフェアウェイキープ率は常に上位に名を連ねた。「全米シニアプロ」でも、その“正確無比なドライバーショット”を生かし、3日目まで上位をキープ。最終日には、「65」をマークして逆転で優勝を決めた。
![画像: 13年「全米プロ」 同年の「全米シニアプロ」優勝したことで出場権を得た](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782728/rc/2016/11/02/783e0048fefa155cc5ccf8ec016d69cb053f45aa_xlarge.jpg)
13年「全米プロ」 同年の「全米シニアプロ」優勝したことで出場権を得た
ウッドの達人であり、“日本一の長尺使い”
井戸木のセッティングを見ると、アイアンは6番からでウッドを6本入れた「六本木セッティング」。“ウッドの達人”と称されるように、フェアウェイウッドを巧みに使って勝利を重ねてきた。
![画像: 井戸木のセッティング(13年当時)](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782728/rc/2016/11/02/ad57ccc20b27ad6402320a02beda48de5cfe2576_xlarge.jpg)
井戸木のセッティング(13年当時)
飛距離よりも正確性で戦ってきた井戸木ではあるが、飛距離を諦めているわけではない。
井戸木曰く、「やっぱり飛距離はほしいわな(笑)。死ぬまで飛距離への執着心は消えませんわ。だから長尺ドライバーを使う。今は47.75インチのドライバー。バチンっと当たったときは280ヤードは飛びます」。
長尺をうまく使いこなすコツは、「遠心力を生かすこと」だと井戸木は話す。アマチュアは振り過ぎているという指摘も。ゆっくりと、遠心力に身をゆだね、切り返しの「間」を上手く使うことが大切だという。
井戸木のドライバーショット
![画像: グリップは緩めに握る](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782728/rc/2016/11/02/34056e4a03bec0b6b6716271b9b3f2bc51cb3e9b_xlarge.jpg)
グリップは緩めに握る
![画像: 左腕で最大アークを作る](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782728/rc/2016/11/02/2fe969d5ebfb7a35e389e7a646117d01b996eca6_xlarge.jpg)
左腕で最大アークを作る
![画像: 上体はねじれるだけねじる](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782728/rc/2016/11/02/8d14db57be75165fc32ad9de9041803a3babffa9_xlarge.jpg)
上体はねじれるだけねじる
![画像: 手元の無駄な動きを最小限に](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782728/rc/2016/11/02/98d376209702740cf62f98af7dfe199d72a6ac41_xlarge.jpg)
手元の無駄な動きを最小限に
![画像: 右肩がクラブを追いかける](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782728/rc/2016/11/02/c83ec2abf0f4bc833eeed145a77c6323f8171668_xlarge.jpg)
右肩がクラブを追いかける
![画像: 最後までボールを押すイメージ](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782728/rc/2016/11/02/af08cc1915768435d5337da7d04264f0e5684b38_xlarge.jpg)
最後までボールを押すイメージ
![画像: バランスよく、毎回同じ形に収まる](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782728/rc/2016/11/02/1989de2ef4da731b9f957116297a71f12e8b8e3c_xlarge.jpg)
バランスよく、毎回同じ形に収まる
そんな井戸木も本日11月2日で55歳の誕生日を迎えた。16年「全英シニア」でも、2日目まで首位を守る活躍で、メジャー2勝目も十分ありえる。今後も、メジャーでどんな戦いぶりを見せてくれるのか、楽しみだ。
![画像: 井戸木鴻樹 レギュラーツアー通算2勝。 プロとして最多のホールインワン7回を記録するなど“ショットメーカー”として知られる](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782728/rc/2016/11/02/705f8a5fb9824c0c15d2b10a2c6d3070e0ac9433_xlarge.jpg)
井戸木鴻樹
レギュラーツアー通算2勝。
プロとして最多のホールインワン7回を記録するなど“ショットメーカー”として知られる