当日の天候は曇りのち晴れ、気温20度の絶好のコンディション。今年は夏以降、雨が多く近隣の本コースでも芝の整備に苦労する中、北谷津のグリーンは速かった! 昨年の第一回大会で上位に入った古参勢が地の利を生かすのか、はたまた初出場の精鋭が予選通過の勢いそのままに頂点を極めるのか……⁉︎
前半18ホールを終えてトップは3アンダー神中淳選手
試合は中四国大会から初参加の神中淳選手が3アンダーで折り返し、昨年大会トップで折り返すも後半崩れて7位だった迫一行選手他2名が3打差のイーブンパーで追いかける展開に。迫選手は昨年のリベンジを果たそうと後半の追い上げにかける展開となった。
昨年の優勝者、山本英司選手は4オーバー、2位の鍛治靖征選手は6オーバーと前半ではエンジンがかかりきらず。ただ、なにが起こるか最後までわからないのがゴルフであり、ショートコース選手権。果たして、後半にはドラマが待っていた。
ショートコース選手権の決勝は、同じ18ホールの2ラウンドで争われる。後半の18ホールは組合せの変更もせず、ピン位置も変わらないため攻めやすい反面、ハーフターン時にある程度自分の順位が把握できるため、メンタル面とどう折り合いをつけるかが戦い方を大きく左右する。ただ「小技がうまい」だけでなく、総合力が問われるのだ。
コースは最長で127ヤード、最短で55ヤード。しかし、特に東コースはアップダウンが激しく、小さく速いグリーンに止めるにはハンカチ1枚とは言わないまでも、座布団1枚といった精度は求められる。実際、ウェッジで打ったショットでも、ピンハイに着弾したボールがグリーンをオーバーする光景を、取材班は幾度となく目にした。
決勝大会ということもあり、上位陣は皆かなりの腕自慢。にも関わらず、100ヤードに満たないパー3に四苦八苦する。反対に、勢いで一気に好スコアを出すこともできる。これがショートコース選手権の面白いところだ。
そんな中、前半トップの神中選手は後半は要所でボギーを叩き苦しい展開に。バーディが欲しいホールでもなかなかチャンスにつかない。グリーン外から果敢に狙うもオーバーし、ご覧の表情。
後半の18ホールで輝きを放ったのは、前半をパープレーで折り返した生田瑞貴選手。中四国大会を勝ち上がっての出場で、練習ラウンドはせずにぶっつけ本番で決勝大会に臨んだものの、後半の18ホールで4バーディ2ボギーの会心のラウンド。特に上がりの9ホールは1バーディノーボギーとグリーンを外しても抜群の寄せとパットでしのぎ、そのままトータル2アンダーでフィニッシュ。クラブハウスリーダーとなり、後続組を待つ展開に。
神中選手も粘りを見せるも、最終ホールでこれを決めれば2アンダーで生田選手と並んでホールアウトという難しいパットを外し、万事休す。生田選手が後半鮮やかな逆転劇で、2016年の「ショートコース日本一」の称号を手にした。
優勝はトータル2アンダーの生田瑞貴選手
「優勝できて嬉しいです! もう少し伸ばせたようにも思いますが、伊予から来た甲斐がありました」と表彰式で喜びを爆発させた生田選手。来年もディフェンディングチャンピオンとして決勝シードが確定しました。
2位は富山県から参加の北田晃選手
中部大会から参加の北田選手。予選でも後半に強さを見せていましたが、決勝大会でも後半の18ホールを3アンダーと爆発。トップと一打差の2位でフィニッシュしました。「富山から8時間かけて参加しました。優勝まであと1打と惜しかったので、また来年も出場します」(北田選手)
3位は中四国大会から参加の神中淳選手
松山市でゴルフ工房を営んでいるという神中選手は「自分で作ったクラブで優勝できたら最高でしたが、残念です。また来年も挑戦します」とリベンジを誓いました。
昨年の上位者がことごとく脱落し、初参加の選手が上位4位までを独占した今年の決勝大会。予選参加人数は延べ442名、決勝大会参加の52名を合計して459名が出場した「全日本ショートコース選手権2016」はこうして幕を閉じました。
“ショートコースを舞台にした日本アマ”の名に恥じないハイレベルな争いとなった全日本ショートコース選手権2016決勝大会。出場した選手たちのピリッとしまった表情と、いいスコアで上がった人も、叩いてしまった人も一様に、ホールアウト後は笑顔で健闘をたたえ合う様子が印象的な、ゴルフ日和の秋の1日となった。
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11月からはショートコースを舞台にした二人一組のダブルス戦を開催します! 普段はライバルの友達も今回ばかりはチームメイト。二人で息を合わせて優勝を目指そう!