ミケルソンやセベ、エルスですら“スーパースター”ではない!?
ゲーリー・プレーヤーは「メジャー6勝以上が真のスーパースター」という独自の定義を持っている。その定義を当てはめればゴルフ界のスーパースターはジャック・ニクラス(18勝)、タイガー・ウッズ(14勝)他、アーノルド・パーマー(7勝)、ベン・ホーガン(9勝)、トム・ワトソン(8勝)、ニック・ファルド(6勝)など10数人しかいないことになってしまう。フィル・ミケルソン(5勝)やセベ・バレステロス(5勝)、アーニー・エルス(4勝)でさえそのカテゴリーに入らないのだ。
翁(プレーヤー氏)の言葉の裏には「ちょっと勝ったくらいでスターだ、スターだと囃し立てるな。ちやほやするから長続きしないんだ」という教訓が込められている。
ここ最近の松山は“スーパースター”級の活躍
とはいえ我らが松山英樹のこの1カ月の戦いぶりには、スーパースターの要素が満載ではないか!
帰国していきなり国内最高峰メジャー、日本オープンに優勝。すると翌週には米ツアーの2016-17シーズン開幕第2戦のCIMBクラシックで単独2位入賞。迎えた世界ゴルフ選手権(WGC)ではローリー・マキロイやヘンリク・ステンソンといった大物を抑え、後続に7ストロークの大差をつけてアジア勢初のWGCチャンピオンに輝いたのだ。
さらに1週空けて出場した三井住友VISA太平洋マスターズでは、初日から首位を明け渡すことなく自身初の完全優勝を達成。これら4試合の獲得賞金の合計はおよそ3億円5千万円。いやはやもの凄い数字である。
世界ランクもアダム・スコットを抜いて6位に浮上。早くも欧米メディアでは「ヒデキは“出来すぎる男”。飛んで曲がらず、ショートゲームにも秀でている。彼がマキロイやジョーダン・スピースと並んで世界のトップ5あるいはトップ3に入る公算は大きい」と最大限の賛辞を送りはじめている。
だがそんなおだてに乗ってはならない。松山本人が常々口にしてきた「メジャーに勝ちたい」という夢を実現するためにも、周囲の雑音には耳をふさぐべきだろう。
ちなみに始まったばかりの2016-17シーズンで松山は現在、賞金ランキング、フェデックスカップポイント、平均スコア、バーディアベレージの主要部門で1位を走っている。24歳の若武者がいずれメジャー6勝以上を挙げ、プレーヤー氏から真のスーパースターに認定される日はやってくるのか? その日が来ることを信じ、我々は彼を“上げすぎず”“下げすぎず”じっくり静かに見守っていきたい。