プロがかぶるキャップやサンバイザーの前面にはクラブメーカーのロゴを入れるのが世界的な流れ。ところが多くの韓国選手のキャップには“一般企業”のロゴが入っている。これってなんで⁉︎
キャップ前面は「露出度」がもっとも高い場所
プロは表彰式やインタビューなど、取材を受ける際には必ずキャップを着用するという契約をしている場合も多い。契約先にとって露出度の高い「キャップ前面」はのどから手が出るほど欲しい場所。なぜ韓国選手は一般企業のロゴをそこに入れるのか。それを考える前に、まずは具体例を見ていこう。
たとえば2016年賞金ランク3位のキム・キョンテ。彼の着用するキャップの前面には「SHIN HAN」というロゴが入っている。これは所属先の韓国の銀行「新韓銀行」のもの。契約しているクラブメーカー、タイトリストのロゴはキャップの側面につけられているのがわかる。
ジョン・ミジョンは所属先が「JINRO」
女子ツアーに目を向けると、キム・ハヌルとジョン・ミジョンが日本でもおなじみのJINROの文字。彼女たちの所属先である眞露という酒造メーカーのロゴがキャップ前面の一番目立つ場所に入っている。日本でたとえるなら、サントリーやキリンなどのロゴ入りキャップ、といったところか。
チョン・インジは韓国ナンバーワンビールの「hite」
2015年の全米女子オープン王者で日本ツアーでもおなじみのチョン・インジのキャップには「hite(ハイト)」の文字。こちらも酒造メーカー「眞露」のビールのロゴマークだ。
韓国ではメインスポンサーを前面に出すことがステータス
このように、韓国ではトップ選手ほどクラブメーカーではなく一般企業のロゴをキャップ前面に入れる傾向がある。なぜなのか? 韓国選手の契約事情に詳しい某メーカーのツアー担当者に聞いた。
「本来、メーカーとしては、クラブ使用契約を結んでいる選手にはロゴが前面に入ったキャップとキャディバッグを使用してもらいたいんです。でも、韓国の場合は、メインスポンサーのロゴ入りのキャップとキャディバッグを使っていないと『契約するメインスポンサーのない、価値のない選手』と思われるらしいのです。だから韓国の有名選手は所属先などメインスポンサーのロゴ入りのキャップやキャディバッグを使用しているんです」
もちろん例外もある。たとえばイ・ボミも2015年まではコカ・コーラのキャップをかぶっていたが、2016年からは契約クラブメーカーの「ホンマ」のキャップを着用するようになった。
とはいえ、基本的にはメインスポンサーのロゴを入れるのが韓国流。たとえるならば、石川遼のサンバイザーの前面に「CASIO」、松山英樹ならば「LEXUS」のロゴが入るというイメージだろうか。キャップのロゴには、韓国独自のスポンサー契約事情が表れていたのであった。