17歳で日本女子オープンを制したのだから米女子ツアーの出場権を競う予選会を突破するのは楽勝だった? ……と思いきや、最終日に崩れ「すごく苦しかった。寿命が10年縮まりました。当分ゴルフはしたくない」と疲労感を滲ませた奈紗。上位20人のみにフル参戦権が与えられる狭き門をクリアしたのは立派だが、本当の勝負はこれから。そこで奈紗を迎え撃つライバルたちをチェックしてみよう。
奈紗のライバルは米女子ツアーを引っ張る「3強」選手
現在ツアーを引っ張るのは、今季賞金女王のアリヤ・ジュタヌガーン(タイ),同ランク2位で世界ランク1位のリディア・コー(ニュージーランド)、さらに賞金ランク3位のブルック・ヘンダーソン(カナダ)の3人だ。彼女たちは全員、奈紗より少し年上の18歳から21歳。若手が台頭するツアーの代名詞だ。
ジュタヌガーンは昨シーズン5勝を挙げ大ブレーク。爆発的な飛距離は圧巻で、日本で行われた「TOTOジャパンクラシック」ではドライバーをバッグに入れておらず、それでもパー5で楽々2オンする姿に唖然とした日本人選手も多かった。
コーは言わずと知れた世界最年少ツアー優勝記録を塗り替え石川遼越えを達成した若き女王。昨季は最終戦でジュタヌガーンに賞金女王の座を譲ったものの、パッティングの上手さはピカイチ。パット・イズ・マネーを地で行く最強戦士だ。
もうひとりのヘンダーソンは日本での知名度はまだ低いが、77年に樋口久子が日本人メジャー初優勝を飾ったKPMG女子PGA選手権(当時は全米女子プロゴルフ選手権)を大会最年少記録(18歳)で制したツワモノ。しかもプレーオフでは大会2連覇を目指したコーを破っている。
インドの伏兵⁉︎ 強力な「同期」も出現
注目選手は彼女たちだけではない。奈紗と同期の異色のプロからも目が離せない。たとえばインド人として初めて欧州女子ツアー(16年カター・レディス・オープン)を制し、同ツアーの賞金ランク2位に食い込みルーキー・オブ・ザ・イヤー(新人賞)に輝いたアディティ・アショクも将来のライバル候補のひとり。リオ五輪に出場して話題になった18歳は、最終予選会でトップ20入りを逃したが、コンディショナル(条件付き)ながらツアーカードを取得。来季はアメリカが主戦場となる。
常駐組の宮里藍や横峯さくらの成績が上がっていないため、盛り上がりが今ひとつの米女子ツアーだが、31歳になった2人も「来シーズンは優勝する」と力強く復活宣言を行っている。憧れの存在が奈紗のライバルとなる2017年。同ツアーへの注目度が再び上がる可能性も。目指すは「世界1位」という奈紗の頑張りに期待したい。