さらにカチカチ調整できる幅が広がった「M1」ドライバー
「M1、M2のニューモデル? ってことは“M3”に“M4”かな?」と思った方、残念、不正解だ。今回テーラーメイドは、ニューモデルを全モデルとまったく同じ名前の「M1」と「M2」という名称でリリースした。「M1 2.0」とか「M1x」とかの微妙な変化もない。名称変更なしは異例で、それだけ前のモデルへの自信があるということだろう。
今回発表されたのはM1、M2それぞれのドライバー、フェアウェイウッド、レスキュー、アイアン(それとレディースモデル)。いわばウェッジとパター以外全部、といった大規模なものだった。まずは高い調整機能がウリのM1シリーズから見ていこう。
重心の深さを変えられるウェートのスライド幅が67ミリから80ミリに増えたことで、重心移動距離が64パーセントアップしたというM1ドライバー。先代のM1も調整機能がウリであったが、それが一層推し進められた印象だ。トウヒール方向、ヘッドの前後方向に搭載されたウェート調整用のバーがデザインにも活かされていて、見た目にもとてもカッコいい。
構えた見た目に関しては、全体的にはマイナーチェンジという印象。クラウン(ヘッド上部)のカーボン部分が増えて、白い部分が少なくなった。これは人によって好き嫌いが分かれるかもしれないが、全体的にはシャープで構えやすくなったと言ってよさそう。
フェアウェイウッドもレスキューも、ともかく「調整機能推し」
フェアウェイウッドに関しても、調整機能がより進化したという説明がされた。調整機能付きのクラブを購入しても調整機能を使わない、使ったことがないというゴルファーは一定の割合いるというが、調整機能は「出はじめ」の頃よりかなり進化を遂げているし、実際の弾道にも大きく影響する、有益なもの。その幅が広がっているのは基本的には歓迎すべきことだろう。
3番ウッドで160CCのヘッドサイズは、さすがウッド作りが巧みなテーラーメイドらしく、クセがない構えやすい「いい顔」。ツートンカラーの印象も、ドライバーからのつながりを感じさせる。
レスキュー(ユーティリティ)にもスライディングウェートが搭載された。ユーティリティのウェートがスライド調整できるのは珍しい。これは是非実戦でテストしてみたいところだ。
フェースは黒く塗られ、かなりシャープなイメージ。M1が上級者向けのカテゴリであることを思い起こさせてくれる。ネックも長めで重心は高そう。面長かつディープフェースで、ショートウッドよりもロングアイアンに機能的には近いような印象だ。
「飛んでシャープ」M1アイアン
新たに登場したM1アイアン。「飛んでやさしい」M2アイアンに、打感や打音、シャープさなどの要素を取り入れたのがこのクラブという説明がされた。やや小ぶり、やや薄め、ややオフセットのヘッド形状で、ゴリゴリのアスリートモデルというよりは「セミアスリート」的な位置付けになるモデルと思われる。
ロフトは5番で23度とストロング。アイアンにも飛距離を求める中上級者向け、といったところだろうか。
構えた顔は実にオーソドックスで、使い手を選ばない印象だ。
真っすぐ進化? 「M2」ドライバー
2016年のツアーで「一番人気」だったと言っていいのがM2。新モデルは、ソールのトウ側が凹んだ特徴的な形状により、さらにやさしくなり、打球音ならびに打感にも好影響があるというが、あくまでも完成度の高い旧M2をそのまま進化させたようなクラブと言えそう。
「調整機能あり」がM1、「調整機能なし」がM2なのは前モデルを踏襲している。
テーラーメイドは、従来モデルチェンジの度に大幅に機能を変化させてくるイメージがあったが、今回は「変化」ではなく「進化」に注力したような印象だ。
「大型化」したフェアウェイウッドと、「ツートン化」したユーティリティ
ドライバーよりも、むしろフェアウェイウッドのほうが「変化」しているかもしれない。具体的には3番ウッドで156→175CCと20CC近く大型化。M1のフェアウェイウッドよりも15CC大きく、明確な差別化がされている。
大型ヘッドの良さは、やさしさと飛距離を両立させやすいこと。構えた見た目にも安心感がある。
M2のレスキューのM1との差別化はフェアウェイウッドよりもさらに一目瞭然で、クラウンがツートンになっている。
これは、Mシリーズのウッドと組み合わせた際に違和感なく構えやすいための配慮とのこと。セットでそろえた際の統一感はないよりあったほうがいい。ツートンカラーとなったことも相まって、その形状はまさしく往年の名器「レスキュー」を思わせて、カッコいい。
飛びに特化。M2アイアン
5番で21.5度の超ストロングロフト(同じ2017年1月に発表されたピンのi200は5番でロフト26度。なんと4.5度違う!)。とにかく飛ばす! という意図がスペックからも見て取れるのがこのM2アイアンで、「ウッドばりの飛距離」だとメーカーも胸を張る。
ロフト角はピッチングウェッジで43.5度なので、ピッチングの下にウェッジを3本入れるのはマストとなるが、アイアンでも飛ばしたいゴルファーには魅力的なプロダクトになりそう。
M1アイアンに比べるとトップブレード厚めで、ゴツめの印象。
と、駆け足で見てきたがこれが新しい「M」シリーズの概要だ。2016年にツアーを席巻した大人気モデルが、名前を変えずに性能だけを進化させた新モデル。今後も注目していきたい。