レッドベターとともに作ってきたスウィングだが、昨秋から異変が
レッドベターによるとこの3年間2人はもともとのクセであるトップでのシャットフェース解消に取り組んできた。テークバックをアップライトに上げ、ダウンではややループを描きながらインサイドからシャローにクラブを入れることでクセを解消。球筋もフェードからドローに変え飛距離を稼げるスウィング作りに励んできたのだという。
「2年半はそれが非常に上手くいきました。でも昨年の秋頃からテークバックでのアップライトの度合いがきつくなり過ぎた。全体にルーズなスウィングが目につくようになりました」(レッドベター)
その変化は結果に如実に現れた。7月のマラソンクラシックでシーズン4勝目を挙げてから勝ち星から遠ざかり、トップ10を外すこともしばしば。現在も世界ランクは1位だが、大本命と目されながら賞金女王、年間最優秀選手賞、平均スコアナンバー1の主要タイトルをすべて新鋭のアリア・ジュタヌガーンにさらわれたのだ。
コーチ、契約クラブ変更は両親の影響?
「リディアは(コーチの自分だけでなく)複数の声に耳を傾けるようになった」(レッドベター)という言葉の裏には、彼女の両親の存在が色濃く関わっている。もともとアジア勢は親子の絆が強く、コーチを差し置いて指導に乗り出す親(たとえばミッシェル・ウィの父親)が多いが、コーもその例に漏れず、シーズン終盤のアジアシリーズでは父ジルホンさんが練習場で娘を直接指導する姿が度々目撃されている。
一説によるとキャディ解雇もキャロウェイから新興クラブメーカーPXGゴルフに移籍したのも、すべては両親の決断だという。ゆえに今回の決別も「両親の意向なのでは?」とレッドベターは見ている。
かつて天才少女と呼ばれたミッシェル・ウィも同じようなことを繰り返し周囲を翻弄してきた。紆余曲折を経つつレッドベターとは未だ師弟関係を続けているようだが、娘べったりの父が余計な口出しをしなければ、もっと飛躍できたのでは? という声も多い。ちなみにウィの現在の世界ランクは176位。一世を風靡した時代もあったのに、悲しいかな今や忘れられた存在になりつつある。
心機一転、環境を変えるのも良いだろう。しかしだからこそコーは2017年、結果を出さなければならない。 「もう15歳の子供じゃないんだから、親に頼らず自分で考え、自分でものごとを判断する力をつけて欲しい」(レッドベター)という元師匠の言葉をコーはどう聞く?