2016年のMシリーズはアベレージスライサーにはちと手強かった
Mシリーズといえば、2016年のツアー界を席巻し、アマチュアゴルファーの間でも大きな話題となったクラブ。ただ、世のアマチュアゴルファーの多くを占めるスライサーは、こんな思いを噛みしめてもいた。「M1もM2も、使いたいけどスライサーにはちょっと厳しいんだよな、つかまり的に」。
そう、2016年の「M」シリーズ、とくにM2はプロや上級者からはやさしい、つかまりがいいと評価されていたが、アマチュアの、それもスライスが持ち球のアベレージゴルファーにはちょっと厳しいクラブであった。
そして迎えた2017年、新たなるMシリーズが発表され、早くも世界中で勝利を重ねている。平均スコア90台のスライサーでも、今度はどうしても使ってみたい。そこで「みんなのゴルフダイジェスト」編集部は考えた。「そんなときこそ、カチャカチャ(調整機能)だ」と。
移動式ウェートを、思いっきり動かしてみた
Mシリーズには調整機能がある。とくに「M1」はソールのウェートを動かすことで重心位置を大きく動かすことができる。なおかつ「M1」には460CCのフルサイズモデルだけでなく、440CCの小ぶりモデルも存在する。基本的に、ドライバーはサイズが小さいほうがヘッドがターンしやすく、つかまりやすい。ならば!
2枚の写真を見比べてほしい。まず、ソール前方のウェートをカチャカチャ。思い切りネック寄り、ドローバイアスがかかる側に移動してみた。これにより重心距離が短くなり、ヘッドがターンしやすくなるはずだ。
さらに、もうひとつのウェートは思い切りソール後方へカチャカチャ。これにより重心深度が深くなり、ミスヒットした場合の曲がりが少なくなってくれるに違いない。ヘッドのターンが苦手で打点が安定しない。スライスが持ち球のアベレージゴルファーの悩みを、これで解決しようという考えだ。
というわけで、コースに持ち込んで、実際に打って試してみた。ちなみに試打スペックは9.5度、純正Sシャフト装着。
いざ、テスト。
結論を先に言おう。みんなのゴルフダイジェストの編集部員(平均スコア90台のスライサー)が打ったところ、ウェートを思い切り「手前で、奥」に移動したM1 440は、正直に言ってナイスショットしか出なかった。
弾道はストレートから強いフェード。スライスしない程度につかまりがよく、ドローが出るほどまでに極端につかまりがよくならない。つまり、基本的には右に曲がる球が出るので、持ち球のイメージを大きく変えることなくコースマネジメントすることもできた。これはいい!
そうはいっても、アベレージゴルファーだけの試打結果だけでは心もとないので、プロ資格を持つ編集部員・中村修にもテストしてもらった。
「どちらも460CCのフルサイズであるM1 460とM2と打ち比べてみると、やはり460CCのほうがフェースの弾きやスウィートエリアの広さという意味では上だと思います。しかし、440CCの良さはなんといっても振り抜きの良さ」(中村、以下同じ)
「ヘッドサイズが小さい分ヘッドの慣性モーメントが小さく、シャープにヘッドをターンさせることができるのは“440”の魅力。ウェートを動かすことでその効果が強調されるので、ヘッドをターンさせるのが苦手なゴルファーには、むしろ合うのもうなずけますね」
「小ぶりでシャープな顔をしているので、試しにパー5のセカンドで地面から直接打つ“直ドラ”を試してみましたが、普通に打てましたよ。強風が吹きすさぶ冬の午後のラウンドには、自然に低い球が出るし、武器になります」
と、直ドラまではさすがにやらないかもしれないが、大いに武器になることがわかった。どんなクラブにも合う・合わないはあるので購入の前にはもちろん試打を勧めるが、もしあなたが「持ち球がスライスのアベレージゴルファー」で、なおかつ新しいMシリーズが気になっているのならば、「M1 440のウェート“全フリ”はつかまる」という情報を、覚えておいていただきたい。