あまたのメジャー王者を育てたプロコーチ、デビッド・レッドベターの新刊「Aスウィング」が話題になっている。「Aスウィング」は、練習量が少なくても正しいスウィングのエッセンスを最大限に取り込めるやり方はないかという考えから生み出された。従来とはまったくことなるやり方で最大効率を導く、最新理論を解説していこう。

時間をかけずに簡単にできる新理論

デビッド・レッドベターの理論は、安定性を重視しているのが特徴で、腕の力はあまり使わず、体の回転によって効率よく、正確にボールをターゲットに運ぶということが主眼となっている。1992年に発売された「ザ・アスレチックスウィング」(小社刊)は、日本で空前の大ベストセラーとなり、一躍、「ボディーターン」スウィングの概念が、世に知られることとなった。

画像: デビット・レッドベター氏。リディア・コー、ミッシェル・ウィはこの打ち方で世界を制した

デビット・レッドベター氏。リディア・コー、ミッシェル・ウィはこの打ち方で世界を制した

そのレッドベターが、25年ぶりに、新たな本格レッスン書を著し、2016年末に発売されるや否や、ゴルファーの間で大きな話題になっている。それが「Aスウィング」(小社刊)だ。Aスウィングの「A」とは、‟Alternative”(「代わりの」の意)の‟A”で、つまりは、これまでのスウィングに「とって代わる」、新たなスウィング理論ということである。

Aスウィングのグリップは‟左手ストロング、右手ウィーク”

レッドベターゴルフアカデミー日本校・代表の石田昭啓プロは、「レッドベターの『Aスウィング』は、従来のスウィングとは、まず「見た目」が違う。そのひとつがグリップです」という。

画像: フェースをスクェアに保ったままコックできる。これが‟お祈りグリップ”だ

フェースをスクェアに保ったままコックできる。これが‟お祈りグリップ”だ

「『Aスウィング』では、左手をややストロングに握った上から、右手をかぶせるように、ウィークに握るのが特徴です。上から見ると、手の甲の角度が左右同じになり、合掌するような形なので‟お祈りグリップ”(prayer grip)と名付けられています」(石田、以下同)

画像: 手のひらを正対させる従来のグリップでは、コックによってフェースの向きが変わってしまう。左右対称な‟お祈りグリップ”なら、自然にスウェアなコックになりやすい

手のひらを正対させる従来のグリップでは、コックによってフェースの向きが変わってしまう。左右対称な‟お祈りグリップ”なら、自然にスウェアなコックになりやすい

従来の常識では、グリップは、左右の手のひらが正対するのが正しく、左手がストロングなら、右手も下から、ストロングに握らなければいけないはずだ。しかし「Aスウィング」では、そうはなっていない。もちろんこれには理由がある。

画像: 左手も右手も、クラブを上から押さえるような形で、左右対称に握るのがポイント。左右の手首の曲がる方向が同じになり、真っすぐコックできる

左手も右手も、クラブを上から押さえるような形で、左右対称に握るのがポイント。左右の手首の曲がる方向が同じになり、真っすぐコックできる

「両手の角度が左右対称になっていることで、アドレスから、垂直方向へのコックが可能になります。このとき、フェースの向きはスクェアで。このコックの形のままトップにクラブを持っていくことで、下ろすときもスクェアに下りてくるというのが、『Aスウィング』の最大の利点のひとつです」

「初心者にはもちろん、上級者が部分的に取り入れてもメリットが大きい」と、話す石田プロ。「Aスウィング」の最大の特徴は、スウィング自体の効率の良さと、学びやすさにある。Aスウィングを取り入れて実践すれば、あなたのゴルフが“別物”になっちゃうかも。

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