イギリスのEU離脱が与えた影響
全英オープンは4大メジャーのうち唯一アメリカ国外で開催される世界最古の由緒正しきメジャー。そんな誇り高き大会がブレグジットによるポンド暴落により、ドル建ての賞金形態に変えざるを得ないというのだ。
大会を主催するR&Aのチーフエグゼキュティブ、マーティン・スランバース氏は「全英オープンが世界最高峰のスポーツイベントのひとつとして認められているのは、最高かつ最古のメジャーという理由の他に、賞金の高さも要素のひとつ。他のメジャーに引けを取るようなことはできない」と誇りをにじませる。
優勝賞金はポンドからドルに替わる⁉
昨年ロイヤル・トゥルーンで開催され、ヘンリック・ステンソンとフィル・ミケルソンが激闘を演じ、ステンソンが初のメジャータイトルを獲得したときの賞金総額650万ポンドを今週の為替レートで換算するとおよそ800万ドル(約9億円)になる。
いや800万ドルにしかならない、といった方が良いだろう。 なぜならアメリカ国内で開催される残りのメジャー(マスターズ、全米オープン、全米プロ)の賞金総額はすべて1,000万ドル以上(11億円強)。全米オープンを主催するUSGA(全米ゴルフ協会)は先ごろ今年の賞金総額が史上最高額の1,200万ドル(約13億5千万円)に達することを発表したばかり。
それに対し、全英の賞金額650万ポンドは、ドルに換算すると2016年のレートでは930万ドル(約10億5千万円)だったのに対し現在のレートでは前述の通り800万ドルと大幅に実質的に下落。単純計算で130万ドル(約1億5千万円)目減りしたことになる。もちろん9億円クラスのトーナメントは破格だが、その他のメジャーと比較すると「見劣りがしてしまう」とスランバース氏。
「毎年ポンドで賞金を換算してきたが、今回はそうでなくなる可能性がある。6月より前に正式な数字を発表したい。もちろんドル建てにするという案も有力な選択肢のひとつ」(スランバース氏)
今年の全英の開催コースはイングランドのロイヤル・バークデール。余談だが前回の2008年はパドレイグ・ハリントンが連覇を達成している。その彼も首痛の手術をするかどうかで悩んでおり、手術の時期によっては全英欠場を余儀なくされるかもしれない。現在空欄の賞金額の欄に今後どんな数字が書き込まれるのだろうか?