16番は距離の短いパー4だが……
上がり3ホールは優勝争いが佳境を迎えるトーナメントのクライマックス。PRGRレディスの舞台、土佐CCの16番ホールは、距離の短いパー4が配されている。
しかしながら、距離の短いホールほど、コースはトリッキーでグリーン周りの難易度が高い可能性が高く、このホールも例外ではない。まずはティグラウンドからコースを眺めてみよう。
フェアウェイ左右にはバンカーが口を開けている。そして一目見てわかる通りの砲台グリーンと、その手前には巨大なガードバンカー。バンカー越えのセカンドショットを強いられる以上、ティショットはフェアウェイに置いておきたい。
この日、イ・ボミはティショットでドライバーを持たずにレイアップ。残り87ヤード地点から2発打ち、距離感をたしかめていた。清水重憲キャディとの会話を聞いてみると、どうやらフォローの風のときに手前のピンを狙う練習をしていた模様。
風の読みが鍵を握るパー3。17番
続く17番ホールは、146ヤードとこれまた距離の短いパー3。しかし、16番同様このホールもイージーホールではない。清水重憲キャディはこう言う。
「土佐CCは4日間風向きが変わることが多いんです。とくに、16番、17番は海に面して風の影響を強く受けるホールです」
つまり、風の読みが明暗を分かつホール。マスターズの12番ホールは風の読みが天国と地獄を分かち、毎年なにかしらのドラマを生むが、この17番ホールもドラマが生まれる予感に満ちたホールと言えそうだ。
このホール、ボミは8番アイアンで2回打ち、2回ともグリーンを外していた。やはり距離表示以上の難しさがあるのだろうか。
2016年大会の「奇跡の1打」の再現なるか。18番
ティショットは打ち下ろしだが、セカンドは打ち上げになるパー4。選手の飛距離や風向きによって、セカンドはユーティリティからショートアイアンまでが選択肢に入り得るホールだ。
このホールで思い出すのはなんと言っても2016年大会の最終日。トップと1打差でこのホールを迎えたボミは、ティショットを右のラフに外し、「ノーチャンス」とテレビ中継で言われる中、奇跡的なショットでバーディ、プレーオフの扉をこじ開けると、飯島茜、柏原明日架との4ホールにわたる死闘を制して優勝を果たした。
清水キャディが持つヤーデージブックには、過去3年分のデータに加え、昨年4ホールを戦った分のラウンドデータが蓄積されている。そのデータを基に、今年もドラマの主役になれるだろうか。
練習日にも吹き荒れていた強い風。この風を制するものが、土佐を制することになるのは間違いがない。春の高知で満開に咲き乱れる女子プロたちの戦い、今週も楽しみにチェックしたい。