マレット・ネオマレットパターは5つの方法でシンクロさせる
直進性が高いと言われている、D・Eバランスのパター(主に大型のネオマレット)には、ヘッドが重すぎるがゆえにテークバックでその場にとどまろうとするため、手の動きとシンクロせずにズレが生じるというデメリットがあります。
また、その慣性モーメントの高さにより、一度右に動き出したヘッドは止めにくく、切り返すときヘッドを「待つ」ことが難しく、うまく切り返せないと以前ご紹介しました。
一方で、ネオマレットにはヘッドが重いため直進性が高く、インパクトでミスヒットした際にヘッドが回転してフェースの向きが狂う率も少なくなるというメリットもあります。
では、デメリットを打ち消しつつ、メリットだけ享受するにはどうしたらいいのでしょうか。その解決法は、5つあります。ひとつずつ、紹介していきましょう。
【1】パターを短く握る
たとえば、「F2」の超重いバランスのパターを1インチ短く握ると、約「D9」のバランスになります。わずか1インチ(2.5センチ)短く持つだけでも、ヘッドバランスを軽くすることができるのです。つまり、手の動きとヘッドの動きをシンクロさせられるところまでどんどん短く持っていけば、どんなに重いヘッドのパターでも問題ないというわけです。
【2】ハンドファーストに構える
ハンドファーストに構えることにより手の甲側の筋肉はあらかじめ収縮(緊張=力に耐えられる)した状態となり、手首が若干ロックされた状態になります。
実際にヘッドの重いパターでハンドファーストに構えたときと、地面に対して垂直に構えたときとを比べてみてください。ハンドファーストの状態でテークバックするとヘッドの重みに負けずに手の動きとヘッドの動きがシンクロして、スムーズにテークバックできるのが実感できると思います。
ただし。今までハンドファーストに構えていなかった人がアドレス時に過剰にハンドファースト(もしくはフォワードプレス)を意識すると右にプッシュしやすくなるので、慣れるまでは練習が必要です。
【3】グリッププレッシャーをヘッドの重みに負けない強さにする
バランスがD→E→Fと重くなるほどにグリッププレッシャーを比例して強くしてみましょう(ただし、握り圧が強くなるほどフィーリングは悪くなります)。
強い握り圧はパターが自然な振り子動作をしようとするのを阻害します。ショートパットでは気にならないと思いますが、ミドルパット以上だと、好みが別れるかもしれません。
【4】パターを改造する
グリップを重いものに交換したり、グリップエンド、もしくは握る位置あたりのシャフト内に錘(おもり)を入れることにより、カウンターバランス効果が発生し、ヘッドバランスは軽くなります。これらの方法はいずれもクラブの総重量が上がるので、クラブ全体の慣性モーメントを高めながら、ヘッドバランスは小さめに抑えるという方法でもあります。
最新のパターの中には、この方式を採用しているものもあるようですね。シャフトをカットしても、バランスは軽くなります。
パターの形状の進化に合わせ、グリップも進化させてしまおう
最後に、とっておきの方法をお教えしましょう。
【5】握り方を変える
この40年間でパターヘッドの形状や構造は革新的に変化したわけですから、グリップの形も基本にこだわらず、相応に工夫したほうがいいと私は思います。私が推奨するのは、右手の親指の腹で握らず、親指の第一関節の肉が薄い部分で握るグリップです。肉が薄く骨に近い堅い部分で握るため、「ボーングリップ」と名付けたこのグリップ、この記事で世界初発表です。
パターを握る際、親指の腹、つまり肉球部分で握ると、自動車のハンドルでいうところの「遊び」が生じます。これに対して、上写真にあるように、右親指第一関節の肉の薄い骨に近い部分で握ることで、ヘッドが重いパターでも手の動きとシンクロしてスムーズにテークバックできるようになりますし、スムーズに切り返すこともできます。さらに、この握り方ならグリッププレッシャーを強くする必要がないので、フィーリングも損ないません。
このグリップはなんとアプローチや普通のショットでも使えるので、SWやドライバーでもヘッドが重すぎてミスをしている人や、手首を使いすぎる人は試してみることを勧めます。
手とヘッドをシンクロさせる究極の握り。その名も「ネイルグリップ」
さらにその上の究極ともいえる握り方が名付けて「ネイルグリップ」です(下写真参照)。
パターグリップのラバーそのものに少し弾力があるので、ズレがゼロとは言いませんが、「ボーン」よりさらにテークバックのスタートと切り返しが手の動きとシンクロする握り方です。
ネイルグリップは最近考案してコースで試しているが、「ボーン」も「ネイル」も周りに申し訳ないほどパットが入る。ぜひお試しいただきたい!