曲がるラインは「錯覚」と「違和感」でミスになりやすい
ショートパットでも、スライスやフックなど曲がるラインになってくると軌道についての知識を少々頭に入れておかなければなりません。
まずは下の図を見てください。図1はフックライン。実際のカップの右にある仮想のカップ(青点線)に対してフェースを向けて、マシーンのようなインサイドインストロークでストロークしています。実はこれ、図で見ると簡単そうに感じますが、コースで実際やろうと思うと、なかなかできないのです。その理由は日頃の構え方などからくる「錯覚」と「違和感」にあります。
この「錯覚」と「違和感」について知っておかないと、切れるショートパットをミスする確率が増えてしまうというわけです。詳しく説明していきましょう。
この打ち方は、カップに対してスタンス、肩のライン、腰のライン全てを右に向いて仮想ラインに対してスクェアに振るイメージとなります。しかしながら、普段からターゲットライン(図1の赤点線)に対してスクェアに構えることになれている我々にとって、フックラインで右を向く(スライスラインで左を向く)ことには違和感があり、方向感覚で錯覚を起こしやすいのです。
また、もともと自分自身の構え方や視線の関係でどちらか苦手なラインがある場合、右を向きすぎている錯覚、または左を向きすぎている錯覚を起こすので、もやもやします。
たとえば図2は「オープンスタンスに構えてアウトサイドイン気味に振る癖がある人」がフックラインを入れるパターンです。このようにカット軌道でもフェースが仮想カップを向いていれば入りますが、自身の軌道からすると相当にフェースを右に向けることになります。結果、ラインがわかっていても打つ前にその違和感を強く感じるのでフェースを右へ向けきれずに、下の図3のように打ってしまい、結果外れます。
また、図4のように何とか仮想カップに向かってストロークしたとしてもフェース向きへの意識が低いとフェースを仮想カップに向けきれなかったり、もやもやからインパクトでゆるむなどした結果、フェースがクローズとなり、結果、大きく左に外れます。
ターゲットラインに対してスクェアに構え、フェースだけ仮想カップに向ける
では、どうしたらカップインさせることができるのでしょうか。ズバリ、図5のようにターゲットラインに対してスクエアに構え、フェースの向きだけ仮想カップを向けるやり方がおすすめです。あたかもストレートなラインを打つかのようにターゲットに対し真っすぐ構え、フェースだけ右を向けるわけです。
この方法は最初だけ違和感がありますが、慣れてしまえばもっとも簡単な方法なのでぜひ試してみてください。スライスラインの場合はこの逆となり、フェースを左の仮想カップに向けるだけです。
大切なのは、このセットアップをしたら、ストローク(=軌道)、距離感(=タッチ)、ラインなどはもうあれこれ考えてはいけないということです。
「ストローク」の練習はコースに出る前や練習グリーンでやっておいてください。軌道を真っすぐにすることより毎回安定して同じように振ることが大切です。そうすれば自然と同じタイミングとなり芯で打つ確率も上がります。
「距離感」はアドレス前の素振りで体得(=感じる)しましょう。アドレスに入ったら距離感(タッチ)を頭で考えません。
「ライン=仮想カップ」はアドレス前に読んでおき、ストローク直前は仮想カップにフェースを向けたら、あとは打つのみ。迷いながら打っても入りません。
つまり、アドレスに入って、打つ直前、そしてストローク中、頭に意識するのは……「フェースの向き」のみ。これが超重要なのです。