スライサーに向けて開発したら、なぜかプロから絶賛されてしまった
試打を行ったのは、東京・新小岩にある「パファーマンスゴルフスタジオ」。テストを行ったのは、所属の堀口宣篤プロ、そして、アマチュア代表として“ミスはプッシュスライス”のぶっつけスウィンガー・みんゴル用具班の編集O(平均スコア95)、そして“ミスはチーピン”のフラットスウィンガー・ライターS(平均スコア90)が行った。
まずは堀口プロの試打コメントから見ていこう。
「シャフトのしなり感が非常に感じられるというのが第一印象です。通常、しなりの大きいクラブはダウンスウィングでシャフトがグニャッとなり過ぎてしまい、インパクトで振り遅れるケースがあるのですが、力の入力に合わせてしなり戻りが発生するため、振り遅れになりません。そしてヘッドもいいですね。芯を外した場合の曲がりが少ないから、安心して振っていくことができるんです。このドライバー、狙っていきやすいですよ。オールマイティなんじゃないかな」
と、好印象。正直に言って、このクラブは開発段階でプロの使用をまったく想定に入れていなかった。プロはシャフトのしなりを自分で作ることができるし、シャフトにボールをつかまえてもらう必要もなければ、ヘッドに曲がりを抑えてもらう必要もないはずだからだ。
しかし、アンリミテッド・グランディスタのヘッド「グランディスタLS-001」とシャフト「メビウス」の組み合わせは想像以上のシナジー効果を生み、プロからも絶賛の声があがってきたのは嬉しい誤算。
ただ。このクラブを届けたいのは、あくまでも「カッコよくてスライスしないドライバー」を求める一般アマチュア。「プロが好む」は時に「アマチュアには合わない」の同義語だったりもするので、はっきり言ってプロからの絶賛コメントは嬉しい反面不安もよぎる。アマチュアが打って結果が出なければ意味がないからだ。
スライサーとフッカーで、“真逆”の試打結果が出た
そこで、次は持ち球がスライスの編集Oと、持ち球がフックの編集Sがテスト。驚きの、というか納得の、というか、実に興味深いデータが出たのでご紹介しよう。ちなみに、以下に挙げるデータはテーラーメイドの「 TP5」ボールを使い、3球ずつ試打を行った平均値だ。
結論を先に言うと、ライターSに「アンリミテッド・グランディスタ」は合わなかった。3発打ったうち、ナイスショットはゼロ。一方で、スライサーの編集Oにはハマりにハマった。平均飛距離250ヤード超えは、普段コースでは(曲がらないよう恐る恐る振っていることもあり)220ヤード、“今日イチ”で230ヤードといった飛距離であることを考えると驚異的と言っていい数字だ。
面白いのは、試打結果だけを見ると逆に思えてしまうが、実際のゴルフの実力はライターSのほうが上である点。この強烈な「合う・合わない」はどこから生じたのか。テストに立ち会ったみんなのゴルフダイジェスト編集部員でプロゴルファーの中村修に解説してもらおう。
「ズバリ、原因は切り返しのテンポです。ライターSさんは、スウィングテンポが速く、トップであまり間を作らず、イチニッ! というリズムで振るタイプ。ものすごく良く言えば、イメージ的にはタイガー・ウッズです。対して、編集Oはテークバックがゆっくりで、トップで一拍おきたいゴルファー。これまたものすごく良く言えば、宮里藍プロ的なイメージ。この違いが、『合う・合わない』を生んだのだと思います」
アンリミテッド・グランディスタに採用したデザインチューニングの“メビウス”シャフトは、シャフトの先端と手元側を非常に硬くし、逆に中間部は非常に軟らかくした個性的シャフト。トップで大きくしなり、ダウンスウィングで鋭くしなり戻るのが特徴だ。
だからこそ、トップで間を取りたいゴルファーには強烈に合ってくる。シャフトが勝手に大きくしなるので、打ち急いで体が突っ込むミスが減り、スウィング軌道が良くなるわけだ。
とはいえ(当たり前だが)すべてのゴルファーに合うわけではない。しなるシャフトよりも、低トルクでしなりの少ないシャープなシャフトが合うゴルファーには合わない可能性もある。ムチのようなイメージを好むか、棒のようなイメージを好むか(あるいはスウィングにマッチするか)、このあたりはゴルファー個々によって異なるからだ。
大きくしなるシャフト「メビウス」の効果でカット軌道を改善し、下半身リードを促して、それでもプロではないアマチュアのこと、インパクトではどうしてもズレてしまう打点のミスを、左右のミスヒットに強い「グランディスタLS-001」が受け止め、ギリギリフェアウェイに残る弾道に整えてくれる。
スウィング中、シャフトのしなりを求めるゴルファーには、ぜひ一度試していただきたいところだ。
(撮影/三木崇徳)