ともに100戦目。ベテラン2人はどのようなプレーを魅せるのか?
第99回全米プロゴルフ選手権で節目のメジャー100戦目を迎えるのはアーニー・エルスとフィル・ミケルソンの2人。ともに47歳で、さかのぼること34年前、世界ジュニア選手権で優勝を争って以来のライバルだ。
メジャーデビューはエルスの方が先で1989年の全英オープン。「あのときの髪型は最悪だった」と本人は苦笑いするが、初メジャーの舞台を踏んでみて「結構勝てるかもしれない」と思ったというから大物である。
実際24歳(1994年)で全米オープンを制したのを皮切りに全米オープン2勝、全英オープン2勝を挙げている。ところが本人はその戦績にいささか不満の様子。
「もっとどんどん勝つぞ、と思ってたら1997年に突然タイガーが現れた。その途端状況は一変。彼の独壇場になってしまった。シルバーメダルコレクターと呼ばたのは辛かった。もしタイガーがいなかったら絶対にもっとメジャーに勝ってただろうね(苦笑)」と本音を打ち明ける。
一方、アマチュアでプロの試合に優勝するなど華々しい経歴を持つミケルソンは、アマチュア時代に3度メジャー挑戦の経験がある。しかし20代前半でメジャーチャンピオンに輝いたエルスとは違い、優勝争いを何度も繰り返しながら勝てず“メジャー無冠の帝王”と呼ばれていた。
ようやく有難くない称号を返上したのはメジャー通算47戦目のマスターズ(2004年)のことだった。以来、マスターズ3勝、全英オープン1勝、全米プロ1勝のメジャー計5勝を挙げ、キャリアグランドスラムまで全米オープンを残すだけとなっている。それにしてもこれまで2位に6度入っている全米オープンで、未だ無冠なのはゴルフ界七不思議のひとつといえるだろう。
その彼もタイガーがいなかったら「これ以上の成績を出せていたかもしれない」と認めている。しかし2人は口を揃え「タイガーは特別。ゴルフ界を変え大きな存在」とライバルへの尊敬の念を表した。
出場する限り、100回目のメジャー挑戦で優勝するチャンスはゼロではない。たとえ望みは薄くても彼らは凛としてティグランドに上がってくれるはずだ。
ちなみにエルスは予選ラウンドを松山英樹と回るが、松山は全米プロがメジャー通算20試合目となる。