我慢比べとなった3日目
今日(3日目)の最終組のゴルフは見ていて疲れる我慢比べのような内容でした。その理由はピンポジション。ほとんどのホールでピンポジションが池やバンカーに絡んだり、傾斜のきついところに切られていたため、ピンを狙えないシュチュエーションが多くありました。
とくにピンポジションが厳しかったのが手前6ヤード、左4ヤードの18番。手前はバンカー、グリーン左がクリークという「距離が残った人は絶対攻めちゃダメ!」と言っているかのようなピンポジションでした。
案の定、3日目の18番はバーディが2つしか出ず、ボギーは20、ダブルボギー以上は12ともっとも難しいホールとなりました。
この18番のトラップにハマったのがジェイソン・デイ。ティショットを曲げ、セカンド以降もトラブルが続きダブルパー。前半はパットがカップをなめたり、ショットが曲がったりしながらも後半はバーディを積み重ね、この日のスコアをイーブンパーに戻してきていただけに最後の18番が悔やまれます。

メジャーの罠にはまったデイ。最終ホール「8」の大叩き
そんな中3日目ベストスコアタイの4アンダーをたたき出したのは小平智。グリーン左が池の16番では左5ヤードのピンポジションを果敢に攻めてバーディを奪取していました。2日目には上がり2連続ボギーで5オーバーとなり予選落ちの危機がありましたが、一気に1オーバー・18位タイまで順位を上げてきました。今日のようなアグレッシブなゴルフが明日の最終日もできれば、ベスト10フィニッシュが見えてくると思います。

この日のベストスコアタイでラウンドした小平。2日目70位タイから18位タイへと驚異の52人抜き!
パットに不安の松山。真っ暗な中、練習に時間を費やした
全体で14人しかアンダーパーが出ない中、松山もショット、パットともに噛み合わずこの日2オーバー(トータル6アンダー)と我慢のゴルフでした。
「パターはショットと同じくらい最悪でした。」
ラウンド前に入念に1メートルの距離を練習していた松山ですが、今日はショートパット、ミドルパットともに前日のような冴えは影を潜めていました。
13番パー3では1.5メートルほどのフックラインのパーパットをストローク軌道が確認できる場所から見ていましたが、ラインの読み間違いというよりも技術的な問題で外れたように感じました。
パッティングのストローク軌道がインサイドアウトになり、押し出し気味になっていました。そのため、短い距離にも関わらずカップにかすりもせずに右に外れていました。

初日、3日目とショートパットに不安が生じた。順番的にも明日は“入る日”になることを期待したい
先週、今週とショートパットを右に外すことが多いと感じていましたが、ピン型と特性が違うマレット型の直線的な動きが作用して軌道に影響が出ているのかもしれません。
ラウンド後は辺りが暗くなる中、練習グリーンでパッティングを修正していました。長い間使用してきたスコッティ・キャメロンのピン型のパターを手にし、1メートルの距離から練習器具を使いながらストロークの確認をしていました。最後に試合で使用しているマレット型パターに戻して感触を確かめているようでした。

真っ暗になるまで、パット練習に時間を費やした(撮影:吉田洋一郎)
首位とは1打差。みんなで松山英樹を応援しよう!
6アンダー2位タイに見慣れない名前があると思いますが、それもそのはず。クリス・ストラウド(35)はワールドランク203位の選手で、先週のバラクーダ選手権で勝利した勢いそのままに優勝戦線に絡んできました。飛距離はあまり出る方ではありませんが、ショットの正確性とパットが武器です。

首位はキスナーで7アンダー(上写真では8アンダーだが、18番でボギー)。松山と伏兵・ストラウドが1打差6アンダーで追う展開で最終日を迎える
スウィングは同調感を保ったフラットな軌道のワンプレーンスイング。打つ前のルーティンではバックスウィングをアップライトに上げ、カット軌道のダウンスウィングで素振りをします。ならばフェードを打つのかと思いきやドローを打つという、マット・クーチャーに似たルーティンとスウィングタイプの持ち主です。
最終日の松山のペアリングは爆発力のあるジャスティン・トーマスと。2016-2017年シーズン序盤、CIMBクラシックとSBSトーナメント・オブ・チャンピオンズでは苦汁を飲まされただけに警戒したいところです。ちなみにトーマスは「JT」と観客から呼ばれています。
その他にもほぼ地元のケビン・キスナー、メジャー勝利経験のあるルイ・ウーストヘイゼンがおり混戦が予想されます。日本人初のメジャー制覇に向けて応援しましょう!
写真:姉崎正