相次ぐキャディの変更、ついにはデイまでコンビを解消
2017年、ジェイソン・デイは世界ランク1位で新しい年をスタートさせた。前途には明るい未来が開けていると思えた。しかし「さあ、これから」というときに母・デニングさんの肺ガンが発覚。「余命12カ月」の宣告を受け「とてもゴルフなどできる状態じゃない」と涙の記者会見を開き、一時ツアーを休み病院探しに奔走した。
3月末にオーストラリアからデイが住むアメリカに呼び寄せガンの摘出手術を受けた母の容態は安定し、夏場あたりから本腰を入れてゴルフに取り組むことができるようになった。
だがなかなか結果が出ずプレーオフシリーズ第2戦が終わったところでデイは、デビュー以来バッグを担いできたコリン・スワートン氏とのコンビ解消を発表した。
デイにとってスワートン氏は単なるキャディではない。父を亡くした12歳の頃からのコーチであり、ときに道を踏み外しそうになったデイの軌道修正を行い、プロになってからはコーチ&キャディ兼任で教え子を世界ナンバー1に導いてきた。
それなのになぜ? 「ミスを彼のせいにしてしまう自分に喝を入れる意味合いがある」と説明したデイ。どこかで聞いたことのあるようなセリフだが、これは8月にJ.P.フィッツジェラレルド氏と長年のコンビ解消をしたときのローリー・マキロイのセリフと似ている。関係が長くなると馴れ合いと心の緩みを解消するため何らかのカンフル剤が必要だということなのかもしれない。
6月に四半世紀連れ添ってきたジム・マッケイ氏と袂を分かったフィル・ミケルソンは「特別な理由はない。お互いにそろそろ、という雰囲気になった」といったが、この3人に共通するのは「選手とキャディの関係ではなくなっても、お互いが生涯の友」という点。デイはスワートン氏との師弟関係は今後も継続するという。
ところでデイが新キャディに指名したのは高校時代からの友人ルーク・レアドン氏だ。「幼馴染みたいなものだね。僕のゴルフを知り尽くしている親友であり悪友。緊迫した場面で昔話しをしながら盛り上がれてリラックスできる」と成果を強調した。
「あいつ(レアドン氏)ったら、すごく緊張して、プレー中どこに立てば良いかわからずウロウロしていたよ。こっちがキャディをリードする立場、っていうのも新鮮でよかった(笑)」
実際新コンビで挑んだBMW選手権では優勝こそ逃したものの、終始上位を賑わし単独4位に入り「あとちょっとのところまできている。些細なミスさえ減らせれば勝てるところまできている」と手応えを口にした。
心機一転、昨年のザ・プレーヤーズ選手権以来のツアー通算11勝目は、シーズン最終戦のザ・ツアー選手権で決める!?
写真/岡沢裕行