PGAツアーの2016-2017シーズンの年間王者に輝いたジャスティン・トーマス。1993年生まれの24歳は今季5勝を挙げメジャー(全米プロ)でも勝利し大ブレイク。ジョーダン・スピースと同い年の若きライジングスターが年間王者になった理由を、ゴルフチャンネルの解説でおなじみのレックス倉本さんに聞いた。

「トーマスは上手くなったんじゃない、もともと上手かったんだよ」とスピースは言った

みんなのゴルフダイジェスト編集部(以下、編集部):ジャスティン・トーマスが年間王者になった、その最大の要因はどういったことでしょうか?

レックス倉本(以下、倉本):今季のトーマスは、昨(2015-2016)シーズンの優勝者が集まるトーナメントオブチャンピオンズで松山英樹を振り切って優勝、翌週のソニーオープンの初日に59という記録に残るスコアを出して2位に7打差をつけて優勝と春先のハワイでの2試合で波に乗りました。

なぜ彼が勝てたのかというと、やはり大きなアドバンテージになっているのはその正確性の高いロングドライブにあります。昨シーズンと比べて要所要所でのミスが少なくなりましたね。トーマスが勝った時のスピースが「彼は、上手くなったから勝てたんではない、もともと上手かったんだよ」というコメントをしたことが印象的でした。

編集部:スウィング的にはどうでしょうか?

倉本:腰の回転はレベルで、アップライトな軌道で飛距離の出る、ややアッパーブローのスウィングですね。左手の甲が手のひら側に折れながら降りてくるので、フェース面が開かずにロフトがやや立った状態で球をとらえています。そして、強烈な踏み込みからジャンプする動きで左腰を回転させる、左サイドのリードが素晴らしいですね。

あれだけ振ることができるというのは、振っても曲がらないクラブとボールで育ってきたゴルファーならではといえるのではないでしょうか。調子が悪くなっても振るスピードをゆるめずに微調整していきます。なので、ハマったときには爆発的なスコアに結び付くんだと思います。

編集部:最終日最終組でプレーした全米プロなど、松山英樹とも何度かいい勝負をしていますが……。

画像: 2017年は全米プロゴルフ選手権で自身初のメジャーを獲得した(2017年全米プロゴルフ選手権 最終日)

2017年は全米プロゴルフ選手権で自身初のメジャーを獲得した(2017年全米プロゴルフ選手権 最終日)

倉本:トーマスは“松山キラー”とも言われていますが、同世代で鎬(しのぎ)を削る良きライバルとして二人とも意識しているのではないかと思います。そういう面白い戦いが結果的にツアーを盛り上げることにつながっていると思います。

編集部:トーマス一人に限らず、2017年は“93年生まれ”の若い世代の活躍が目立ちました。

倉本:この世代のプレーヤーに共通しているのは、プレーオフ最終戦を制した、Z・シャウフェレもそうですが、自信を持つと一気にスターダムにまでのし上がるという点でしょう。ジュニア、大学、下部ツアーと試合での経験が豊富で、結果を出すことで自信を持ち、さらに結果を出すという好循環につながっています。そういった意味でも経験から自信を持ち、伸びてくる選手がまだまだ出てくると思います。

編集部:来シーズン、さらなる若手の躍進があるのでしょうか?

倉本:しばらく世界ランキング1位の座にはダスティン・ジョンソンが君臨していますが、若い世代が上がってきてますます層が厚くなって来ています。誰がナンバー1になってもおかしくない状況になって来ると思いますね。

写真/姉崎正

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