子供には子供の目線で。記者が見たチョン・インジ
練習ラウンド前、長蛇の列を作るゴルフファンひとりひとりに笑顔で対応をする選手がいた。女子ゴルフ世界ランキング5位のチョン・インジだ。彼女は練習ラウンド前の練習よりも、ファンとの交流に1時間近くの時間を割いた。
日本女子オープンの練習日は一般公開されている。試合では禁止されている写真撮影もこの日は解禁。プロとゴルフファンとの距離が一番近い大会とも言われ、試合中ではないプロの素顔が見ることができるという点でも、より多くのゴルフファンに支持されている大会だと言っても過言ではない。
しかし、あくまでも日本女子オープンはメジャー大会。選手たちにとっても大切な試合であることは間違いない。ファン対応よりも自分のプレーに集中したいと思う選手も多いだろう。ゴルフを生業としている以上、勝つためにプレーへの集中を大切にするのは至極当然のことでもある。
そんな中、自分の練習よりも長蛇の列を作るゴルフファン全員に終始笑顔で対応し、マネージャーをカメラマンにしてまでファンと一緒に写真を撮り続けるチョン・インジは、日本女子オープンの会場ではある意味浮いていた。
チョン・インジにサインと写真を撮ってもらっていたファンのひとり(60代男性)に話を聞いてみた。
「昨年のTOTOジャパンクラシックで初めてサインをもらったんですが、サインも写真も終始笑顔で、目を見て『応援アリガトウゴザイマス』と。日本に慣れていないでしょうに、その一生懸命さに心を打たれました。日本に来るときには絶対にまた会いに行こうと思って今日は山形から来ました。最終日までプレーを見届けます。彼女はプレーの魅力もさることながら、人間としても本当に魅力的だと思います」
プロゴルファーがファンへ対応する、ファンがプロのプレーを観にツアーに足を運ぶ。まさにゴルフ界が望む理想的な状況を目の当たりにしたような気持ちになる。
「異国の選手なのに、自分に対して興味と関心を持ってくれて、応援してくれる気持ちを表してくれるファンに感謝の気持ちがいっぱいです。自分の調子が悪い時こそファンの声援は大きな力になるのでファンへの感謝を忘れない」
日本女子オープンの最終日終了後も1時間近くファン対応に時間を割いたチョン・インジ。終わってみれば成績も5位タイ。世界ランク上位者の貫禄を見せつけた。