畑岡奈紗を筆頭とした“黄金世代”はもちろんのこと。アマチュアも含めた10代プレーヤーが日本女子ゴルフ界を席巻している。日本女子オープンでも大活躍した彼女らは、なぜおこれほどまでに強いのだろう? その理由を探った。

「新しい時代に入ってきたのかな」(上田桃子)

先に行われた日本女子オープンゴルフ選手権は畑岡奈紗の歴史的な圧勝で幕を閉じた。第50回の記念大会の舞台となった我孫子ゴルフ倶楽部は2009年にも開催されているが、2013年に2グリーンを1グリーンにするなどの大改修を行い、未知なるコースでどのような戦いが展開されるかと思ったが、予想に反して(?)意外とも言えるロースコアでの戦いとなった。

その要因はいくつかある。ひとつはフェアウェイが広い上に、ラフがメジャーにしては短かったこと。さらに雨の影響でグリーンが止まりやすい状況だったことも選手達にとっては優位に働いた。

コースの大改修により1グリーン化にしたことで、グリーンが大きくなっただけでなくアンジュレーションがかなり強くなった。コンパクションが上がるとグリーンはかなり難度が高いものになることを想定してのフェアウェイの広さやラフの短さだったのかもしれない。

画像: 2位を全く寄せ付けず2連覇を果たした畑岡奈紗

2位を全く寄せ付けず2連覇を果たした畑岡奈紗

そんないつもとは違った日本女子オープンゴルフ選手権に選手達も少々戸惑った様子だった。最終日に追い上げて9位タイに入った上田桃子も「これだけのスコアの伸ばし合いになることは予想していませんでした。ただ、天候などの影響があるとは言え、新しい時代に入ってきたのかなという印象も持ちました」。

また、菊地絵理香も「メジャーといえばいつも我慢比べのようなイメージがあります。今年のような伸ばし合いの展開になると、それはそれで違った難しさを感じました」と大会を振り返っている。コースセッティングやコースコンディションによって、“いつもとは違ったメジャー”と表現する選手が多かったのは事実だが、もうひとつ異質な雰囲気になった要因がアマチュアの活躍だろう。

畑岡は大会を連覇したわけだが、昨年はアマチュアとして史上初めてのメジャー優勝を飾っている。そんな畑岡の活躍があったからか、今年出場したアマチュア勢も「自分達にもできる」といった雰囲気が漂っていた。出場した32人のアマチュアの中で予選突破はなんと17人。並み居るプロに混じって堂々の数字と言える。3位に入った小倉彩愛にいたっては、最終日も全く緊張したなかったとさらりと話す。

画像: 日本女子オープンで3位に輝いた小倉彩愛(写真/岡沢裕行)

日本女子オープンで3位に輝いた小倉彩愛(写真/岡沢裕行)

卓球や水泳、フィギアスケートなどスポーツ界では10代の活躍が著しい。ゴルフにも確実にその波は押し寄せている。その大きな要因の一つに、ナショナルチームの活動が軌道に乗り始めたことがあるようだ。

1984年の世界アマチュアゴルフチーム選手権で日本代表が優勝したのをきっかけにJGAナショナルチームが発足。世界で活躍する選手の育成等を目的として、様々な取り組みを実施している。

JGAの専務理事を務める山中博史氏は、「JGAのナショナルチームでは、テクニカル、フィジカル、マネジメントに加えて普段の生活も含めた強化に取り組んでいます。2020年の東京オリンピックに向けて、プロ団体との連携を密にしてやっていることが少しずつ実を結んでいるんだと思います」。

また、全日本代表チームのシニアディレクターを務める筑波大学の白木仁先生は、「スウィングを見るコーチとも連携しどんな動きにしたいのか、そのためにはどんなトレーニングが必要なのかを考えて指導しています。下半身のトレーニングはパワー系とスピード系の両方をバランスよく強化しています。ゴルフはまだまだトレーニングは遅れています。やはり世界一を目指すには体作りは第一条件なので」と、確実に成果が上がっていることに手応えを感じている様子。

今年は宮里藍が現役を退いたが、彼女らの活躍があり、今の10代の興味がゴルフに向いてくれたことは間違いない。女子ゴルフの世界は新たな世代がツアーを席巻する時代が訪れたのかもしれない。

This article is a sponsored article by
''.