「ホンマ・ツアーワールドカップ」2日目に年齢と同じスコア70でラウンドする“エージシュート”の偉業を達成したジャンボこと尾崎将司。古希を迎えた日本ゴルフツアーのレジェンドは今、どのようなゴルフを展開しているのか。尾崎の「現在地点」をゴルフスウィングコンサルタントの吉田洋一郎が分析する。

70歳ながらヘッドスピードは47m/s超え!

ブリヂストンオープン練習日、小雨の降る中黙々とドライバーを打ち込んでいた尾崎将司(以下、尾崎)。練習を終えると打席のすぐ前方にあったブリヂストンスポーツ社の弾道測定機器を使ったデータ分析のブースに向かいました。

一球目はヘッドスピード46m/s でトータル距離278ヤード。計測をしたブリヂストンのスタッフも驚いていましたが、70歳という年齢を考えると、この数値は驚異的だと思います。

「なんだ、ヘッドスピード46しか出てないのか」(尾崎)

画像: ブリヂストンオープンの練習日にドライバーショットを計測する尾崎将司

ブリヂストンオープンの練習日にドライバーショットを計測する尾崎将司

しかし、ゴルフ界の頂点を極めたレジェンドはヘッドスピード46m/sでは満足しません。しばらく画面を眺めた後、本気の一振り。2球目はヘッドスピード47.3m/sでトータル距離268.9ヤード。

「がっかりしたな。データなんか取るものじゃないな」(尾崎)

近くにいた深堀圭一郎にそんな言葉を残し、練習ラウンドへと向かっていきました。

70歳のジャンボの飛ばしの秘密

成田ゴルフ倶楽部で開催された米シニアツアーで往年の名選手たちのスウィングを観察しましたが、そのスウィングからは寄る年波を感じずにはいられませんでした。しかし、尾崎は70歳にしてヘッドスピード47.3m/s 。この常人離れした数値は同じくデータ分析を受けたバリバリの現役PGAツアープロ、マット・クーチャーとほとんど変わらないものでした。

ヒールアップによって下半身をダイナミックに使うスウィングは躍動感に溢れ、全盛期を彷彿とさせる雰囲気がありました。ダウンスウィングで地面を押す動き、そしてインパクトで伸びあがりながらヘッドを走らせる動きは効率よく地面反力を使っている証拠です。

とくにドライバーショットにおいて伸び上がりながらアッパー軌道でボールをとらえることでスピン量の少ないビックキャリーを生み出すことができます。この点はシニアゴルファーだけではなく、アマチュア全員が飛距離アップの参考にできる部分です。

画像: 47インチの長尺ドライバーで飛距離に対して飽くなき探求心を持つ尾崎将司

47インチの長尺ドライバーで飛距離に対して飽くなき探求心を持つ尾崎将司

「ジャンボさんはシャフトの長さが47インチでバランスはD8のセッティングにしています。とにかく飛ばせるスペックを要望されていますね」そう語るのは尾崎が使うG400LSテックドライバーを提供するピンゴルフ社のツアー担当、ウィル・ヤナギサワ氏。

スタンダードモデルより低スピン設計のLSテックのヘッドと47インチの長尺シャフトによるヘッドスピード増により、高弾道低スピンのビックキャリーボールを生み出しているといいます。

自身の最高のスウィングを探求し、常に最新の道具を使いこなしてきたジャンボ尾崎。引退の話題も挙がりますが、まだまだジャンボの飽くなき探求を見てみたいと思いました。

写真/大澤進二

画像: 吉田洋一郎(よしだ・ひろいちろう)世界のゴルフスイング理論に精通するゴルフスイングコンサルタント。北海道苫小牧市出身。世界4大メジャータイトル21勝に貢献したデビッド・レッドベター氏より指導法を直接学ぶ。欧米の一流ゴルフインストラクター80人に直接指導を受け、カンファレンスを含めると200人のインストラクターの指導方法を学ぶ。海外メジャーを含めた米PGAツアーへ数多く足を運び、試合での実戦的なティーチングにも精通する。ツアープロ、シングルプレーヤーなどを中心にスイングコンサルティングを行っている。http://hiroichiro.com/blog/

吉田洋一郎(よしだ・ひろいちろう)世界のゴルフスイング理論に精通するゴルフスイングコンサルタント。北海道苫小牧市出身。世界4大メジャータイトル21勝に貢献したデビッド・レッドベター氏より指導法を直接学ぶ。欧米の一流ゴルフインストラクター80人に直接指導を受け、カンファレンスを含めると200人のインストラクターの指導方法を学ぶ。海外メジャーを含めた米PGAツアーへ数多く足を運び、試合での実戦的なティーチングにも精通する。ツアープロ、シングルプレーヤーなどを中心にスイングコンサルティングを行っている。http://hiroichiro.com/blog/

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