今どきクラブの性能を引き出す! 「タメ過ぎない」ダウンスウィング
小鯛プロのスウィングを初めて見たのは5月のパナソニックオープンでしたが、そのとき印象に残ったのがスウィングの再現性の高さ。持ち球であるフェードボールの弾道の高さが常に一定でありながら、飛距離も出ていました。その秘訣はタメ過ぎない切り返しにありそうです。
写真1を見てください。切り返し直後の写真左を見ると、腕とクラブが作る角度が約90度。その後インパクトにかけてもタメを作り過ぎていないことがわかります。
クラブをタメないということは、インパクトゾーンにクラブが浅い入射角で入ってくるということ。スピン量が少なく、打ち出し角の高い今どきクラブでは、ボールはクラブが上げてくれるので、極端なダウンブローは必要ありません。そして、浅い入射角のほうがスピン量が安定し、飛ばせます。
27歳の小鯛プロのスウィングは、見事に今どきクラブにマッチしたものだと言えます。
ゴルフ歴の長いゴルファーの方の多くは、ダウンスウィングではクラブにタメを作るほうがいいと教わったと思いますが、タメが強ければ強いほど、クラブがリリースされた際のインパクトの強さはあるものの、打点、そしてスピン量のコントロールがシビアになります。
そういった打ち方は、大型ヘッド以前の高重心で重心深度の浅いクラブではマッチしていた打ち方ですが、現代の深・低重心クラブは入射角を浅くすることで安定した弾道を得られるようになりました。タメが不要になったわけではなく、軽めのダウンブロー。これにより、適度な入射角が得られ、最適な弾道を放てるわけです。再現性の高さも、ここに秘密があります。
さて、そんな小鯛プロについて、ツアー仲間である金子敬一プロに話を聞いてみました。
「竜也はお父さんが体育教師だったこともあり、厳しく育てられたんだと思います。そのせいか謙虚で、低姿勢、アクのない本当にいいやつなんです。ゴルフはドライバーでもアイアンのように球が高くショットがいい。キレのいいアイアンショットで硬いグリーンでも止められる。練習もたくさんしますしね。このあとまだ勝つチャンス出てくると思いますよ」(金子プロ)
と、人柄と、そのショット力に太鼓判を押していました。
さて、やや技術的には高度になりますが、この小鯛プロのスウィングはアマチュアのみなさんも参考にすることができます。アマチュアの多くはタメが“作れない”アーリーリリース。ですから、「タメないように振る」のではなく、トップで作った腕とクラブの角度をインパクトまでキープする意識を持ち続けると、“タメ過ぎないけど適度にタマってる”状態に近づけると思います。
小平智プロと同じ学年の27歳。小平に先を越されてはいるがこの先日本ツアーを引っ張る存在に成長してほしいですね!
写真/姉崎正