世界ランク上位者が欠場しリッキー・ファウラーが同ランク最上位者(10位)として参戦したPGAツアーのOHLクラシック at マヤコバ。荒天でサスペンデッドが続いた影響で最終日に36ホールの長丁場を戦ったファウラーは優勝争いを引っ張ったが、1打足りず31歳未勝利のパットン・キザイアに初優勝を献上した。
今回も含めファウラーが2位に甘んじること実に12回。ツアーで挙げた勝ち星「4」の3倍も勝てない試合があるということだ。
2009年にプロ転向した直後、フライズ・ドットコム・オープンでいきなりプレーオフに進出し2位タイに入ったときには、これから先どれだけ勝利を積み重ねるのだろうと期待したもの。
ところがデビュー5年でウェルズ・ファーゴ選手権(2012年)の1勝だけ。2015年に第5のメジャーと呼ばれるプレーヤーズ選手権に勝ち、プレーオフシリーズのドイツ銀行でも優勝し年間2勝を挙げているが翌年(2016年)は未勝利。2017年もホンダ・クラシックでの1勝にとどまった。
世界ランクはトップ10だしツアーで1、2を争う人気者なのだから何も文句はない。だが期待値が高いだけについつい「そんなもんじゃないだろう」と思ってしまう。第一、優勝争いしているときの“勝てる感”が薄いのだ。
今回のマヨコバでも格下相手に勝ちきれなかった。そういえば昨年のフェニックス・オープンでも松山英樹にプレーオフで敗れ優勝を逃している。
早くからメジャーの出場機会を得てライダーカップのメンバーに抜擢されるなど、貴重な経験を数多く積み上げてきた。
だがだからこその落とし穴もある。本来は小さな試合で勝ちまくり“勝ち方”を覚えるのが常道のはず。しかしファウラーは小さな試合で勝ち方を覚える前に大きな舞台に出すぎてしまった。
フィールドの厚い試合なら上位に入っただけで達成感はある。勝てなくても「まぁ、仕方ない」という気持ちが生まれるだろう。それで世界ランクが上がれば本人にとって悪くはない。ファウラーがそうだとはいわないが、勝ち方を学ぶ前に大舞台での経験を積みすぎた感は否めない。
松山に敗れたフェニックス・オープンに続きマヤコバでは、本人が腕にタトゥーを入れるほど大好きな祖父・田中豊さんの姿があった。ファウラーのミドルネームはご存知の通りユタカ。祖父の前で優勝を飾ることは残念ながら今回もできなかった。
アメリカ期待の星が勝ち方を覚えツアーを席巻する日はいずれやってくるのだろうか?