若手が躍進した2017年女子ツアー
長いシーズンを終え来季のフル参戦権=シード権を得られるのは上位50名のみ。今年からの新しい試みで51位から55 位までの選手は来シーズンの前半だけ出場権が与えられるが、夏場のリランキングの順位で後半出られるかどうかが決まる。どちらにしてもプロが職場を確保できるかどうかの戦いだから熾烈なのは間違いない。
今年は勢いのある若手が初シードを決めた。現在賞金ランク3位のイ・ミニョンや川岸史果(同7位)、畑岡奈紗(同13位)、永井花奈(同20位)、武尾咲希(同27位)は皆20歳前後。初シード10名中9名が20代で最年少は畑岡の18歳とツアー経験の少ないプレーヤーが花開いたシーズンとなった。

今期ブレイクした川岸。最終戦を前にした賞金ランクは7位で、堂々の初シード獲得だ
初シードが10人いればシード圏外に去った選手もいる。賞金ランク51位に終わった酒井美紀、ツアー7勝の佐伯三貴(同53位)、同じく7勝の飯島茜(同54位)のほか、シード常連だった金田久美子(同62位)、原江里菜(同65位)、ここ数年でブレイクした松森彩夏(同66位)、藤田光里(同88位)といった面々もトップ50入りを逃している。

シードの常連、昨年は賞金ランキング17位だった原江里菜もシード権を喪失(2017年日本女子オープン)
松森や藤田はルックスも相まって将来を嘱望される存在だっただけに初優勝から1、2年でシードを喪失したのは残念でならない。
13年の賞金女王・森田理香子でさえ、頂点に立ってからわずか3年でシードを失い今季もランク89位に終わっている。もちろんすぐに返り咲いた例もあるが、一度シードを落とすとそこから這い上がるのは至難の技だ。
上を見れば外国勢がひしめくなか鈴木愛が森田以来の日本人マネークイーンの座に王手をかけている。最終戦で単独6位以内に入れば栄冠が手に入るところまでやってきた。
シード落ちした藤田と賞金女王目前の鈴木は奇しくも13年のプロテストに合格した同期生。デビュー当時は美人プロとして藤田が注目されたが5年後に立場は大きく入れ替わった。
とはいえ賞金女王になったらなったでその後の重圧は計り知れない。シード復活を目指す藤田とプロ最良のシーズンを過ごした鈴木。同期生の今後からも目が離せない。
写真/大澤進二、岡沢裕行