中古クラブを選ぶときはまずは「アイアンセット」から
中村修(以下、プロ):ゴルフを始める際に多くの人が購入を検討するのが各メーカーから出ている廉価版の「初心者セット」かと思います。
藤川さん(以下、藤川):そうですね。多くの人が使えるように作られていることはたしかですが、例えば「野球をやっていた人」など、ある程度体の使い方が分かっていて腕っぷしに自信がある人には、少し物足りないかもしれません。今回は5万円台という縛りの中でパワーのある初心者の代名詞的存在である「野球経験者」に合うクラブセットを組んでみましょうか。まず、前回同様、クラブを選ぶにはアイアンセットから選びましょう。ここに基準を持ってくれば他のクラブを選ぶのも一気に楽になりますから。
プロ:なるほど。アイアンには、スチールシャフトとカーボンシャフトが差さったものがありますが、やはり野球など運動経験がある人は重めのスチールシャフトのほうがいいのでしょうか?
藤川:おっしゃる通りです。握力40以上がスチールシャフトを選ぶ目安ではありますが、体力のある運動経験者なら、スチールのほうが合う場合も多いと思います。
プロ:なるほど。ではアイアンセットを選びましょう。
藤川:本当は「5番アイアンからサンドウェッジ(SW、あるいはSと表記)とアプローチウェッジ(AW、あるいはAと表記)」までセットになっているものを選びたいのですが、今回は「5番アイアンからピッチングウェッジ(PW、あるいはPと表記)」とSWとAWを別に選んでみましょう。
プロ:そのほうが本格的な印象になりますね。では、この「ツアーステージ V-iQフォージド」なんていかがでしょうか? シャフトはスチールのS(硬め)シャフトです。V-iQフォージドといえば宮里藍選手が愛用していたモデル。これが2万4990円で買えるんですね。
藤川:なかなかいいチョイスだと思います。野球経験者にはちょうどいいスペックかと思います。それでいきましょう。ウェッジですが、52度と56度でチョイスしましょう。52度のものをアプローチウェッジ、56度のものをサンドウェッジとして使うといいでしょう。ウェッジを選ぶ際には、なるべく同じメーカーで選んでみましょう。クラブのクセなどもありますからね。
プロ:では、今回はフォーティーンを選んでみましょう。「MT-28 J.SPECⅢ52度」5990円と「RM‐11 56度」4990円を選んでみました。どちらもプロ目線でいいウェッジだと言えるモデル。ここで気を付けることはありますか?
藤川:ウェッジの場合は「溝の減り」にも気を付けて見てみてください。溝の減ったウェッジはスピンがかかりにくくなりますからね。ほとんどの中古ショップではあまりに溝の減ったウェッジは店頭には並べませんが、念のため。
プロ:とはいえ初心者に溝がへたっているかどうかを確認するのはちょっとハードルが高いかもしれません。分からなければ、店員さんに聞くといいでしょう。さて、アイアンセットとウェッジで3万5970円ですね。あと2万3000円くらいしか使えませんが、ウッド類にパターまで揃えられるか、心配になってきました(笑)。
ドライバーのスペックはアイアンに合わせるべし
藤川:続いて選ぶのはドライバーですね。ドライバーは14本のクラブの中で一番飛ぶクラブ。アイアンのシャフトの硬さが「S」だったので、ドライバーも「S」シャフトで合わせましょう。シャフトの硬さには硬めの「S」、軟らかめの「R」、その中間の「SR」がありますが、パワーがある人がRシャフトを使うと逆に飛ばないということになりかねませんから。
プロ:残りが2万3000円しかないからなぁ。……お! これなんていかがでしょうか? 「テーラーメイドR11」です。これはたしか井戸木鴻樹プロが全米シニアプロで優勝した時のクラブでしたね。しかも、これ、カスタムシャフトといって、純正品より価格の高いシャフトがささっています。「ツアーAD DJ」ですね。中古ならではの出会いです。
藤川:なかなかの掘り出し物を見つけましたね。少し使用感はありますが、中古ショップでは店頭に並ぶまでに厳しく検品されていますから、まだまだ現役で使えますよ。
プロ:これが9900円。5万円台が見えてきましたね。とはいえ、ドライバーとアイアンの間に何か欲しいですよね。なにを選んだらいいでしょうか?
藤川:野球経験者にはスライサーが多く、ドライバーのOBが頻発することも。なので、ティショットでも使える3番ウッドをおすすめします。ティショットでは必ずしもドライバーを打たなくてもいいですからね。ドライバーの調子が悪い時は3番ウッドでティショットしましょう。2打目も3番ウッドでもいいわけですしね。
プロ:なるほど。いくつか選んだ中で値段のことも考えるとこのナイキ「SQ」の3番ウッドはいかがでしょうか?
藤川:いいですね。ちなみに5990円です。これも掘り出し物ですね。
残りはパター。7140円の予算で何が選べるか
プロ:最後はパターですね。ここは値段でチョイスして試打してみて決めましょうか。
藤川:そうですね。予算がある場合はそれでいいと思いますが、やはり大きめのヘッドのものを選ぶといいと思いますよ。大きいヘッドは、余計な動きが制限されやすく、真っすぐ引いて真っすぐ打ちやすいです。いくら力に自信があっても、パターに力は関係ないですからね。今回は「テーラーメイド GHOST TOUR Monte Carlo 72」にしましょう。マレット型で初心者にも扱いやすいと思います。
プロ:ちなみにお値段は6990円。ゴルフクラブは14本まで持てますが、正直初心者は今回の11本があれば十分だと思います。自分の上達によって買い足していくのもひとつの楽しみですからね。
ドライバー「テーラーメイドR11」9900円
3番ウッド「ナイキSQ」5990円
アイアンセット「ツアーステージVIQフォージド」2万4990円
アプローチウェッジ「フォーティーンMT-28 J.SPECⅢ 52度」5990円
サンドウェッジ「フォーティーンRM-11 56度」4990円
パター「テーラーメイド GHOST TOUR Monte Carlo 72」6990円
藤川:総額は11本で5万8850円。なんとか5万円台で揃いましたね。
プロ:かなりいい感じな気がします。3番ウッドは5番ウッドでもいいですね。上達に従って、少しずつウッド類を加えていくと、さらに本格的なクラブセッティングに“育てる”ことができると思いますよ!
写真/小林司