アマチュアは、306ヤードのパー4を「74ヤード」余計に歩いていた
距離を測定したり、自分のラウンドを記録したりと大活躍のGPSゴルフナビ。「これを上手く使うと、マネジメント力がどんどんついて、スコアの無駄が省けるようになりますよ」というのは、プロゴルファーの中村修だ。
「たとえばガーミンのアプローチS60は、プレーの履歴がショットバイショットで記録されます。それをあとから見返し、分析することで、スコアを崩した要因を割り出すことができるんです」(中村)
というわけで、実例を挙げてみよう。カレドニアンGCを「みんなのゴルフダイジェスト」編集部Fがプレーした実データだ。
「ガーミンに記録されたデータを見てみると、ショットごとにどの番手を使い、何ヤード飛ばしたのかがおおよそわかります。つまり、この画像の場合、編集部Fさんはティショットをドライバーで右に外し、2打目の7番アイアンもミスし、3打目を引っかけ、4打目でなんとか乗せて、2パットのダボでホールアウトしたわけですね。そして、ここでポイントとしたいのは、『打った打数』ではなく『歩いた距離』なんです」(中村)
編集部Fの弾道データの数字を全部足すと、190+71+74+45=380ヤード。しかし、実はこの4番ホールのレギュラーティのヤーデージは306ヤードに過ぎない。実に74ヤードも余計に歩いていることになる。
もちろん、アマチュアなんだからボールが左右に散らばるのは当たり前。その分だけ歩行距離が長くなるのも当然。しかし、歩行距離を短くするようにゴルフを組み立てることが、結果的にスコアを削ることにつながるのだという。
「アマチュアの方は、右の林に外したあとのセカンドで左のラフにつかまるなど、コースの端から端へとボールが行くミスをしがちです。一番わかりやすいのが、林からの脱出が思いがけず飛びすぎてしまったようなケースですが、Fさんのプレーを見ると、まさにその通りなことが3打目で起きています。2打目で無理をしたことで3打目は苦しい状況からグリーンを狙わざるをえず、結果は引っかけ。2打目をミスした時点で、ほぼダボが確定しているのです」(中村)
では、どうすればこのホールをダボにせずに済んだのだろうか。答えはこうだ。
「どうすれば歩行距離を減らせたかという観点から考えましょう。星印で示した点は、本来ティショットで狙いたかったベスポジです。そこに2打目でボールを戻しておけば、サードショットは狙いやすく、上手くいけばパー、少なくともボギーで切り抜けられる確率は非常に高かったと思います。結果、コースを短く使えたはずなんです」
図の青いラインで示した線は、ティショットでバンカー越えに成功した理想のライン。当然、セカンドショットでは直線的にグリーンを狙うことのできる“最短距離”のラインだ。ティショットでミスしたとき、冷静にこの理想のラインにボールを戻すマネジメントができていれば、このホールでダボを打つ可能性は低かった。
ミスは仕方ない。そして、コンスタントに90台、たまに80台というゴルフをするためにポイントとなるのはミスの傷口を広げないことだ。GPSゴルフナビを所有している方は、時折こうして自分のプレーを振り返り、無駄がなかったかどうか洗い出しをしてみると、マネジメント力がアップすること間違いなしである。