ダンロップフェニックスではケプカに次ぐ2位タイ
プラヤド・マークセン。タイ出身の51歳はシニアデビューの昨年に続き今年2年連続賞金王に輝いた。
今シーズンシニアツアーに12試合に出場し4勝。獲得賞金は7000万円を超え2位に入った米山剛(出場17試合)に3000万円を超える差をつけ、圧倒的な強さを見せつけた。
それだけでも凄いがマークセン、レギュラーツアーと二足のわらじ。シーズン序盤のSMBCシンガポールオープンで優勝を飾り、先日行われたダンロップフェニックスではブルックス・ケプカに次ぐ2位タイに食い込んだ。出場10試合で4837万6651円を稼ぎ、ゴルフ日本シリーズJTカップ直前の賞金ランクは堂々の18位につけているのである。
仮に最終戦最下位でも90万円程度の賞金が加算されるから低く見積もってもレギュラーツアーの獲得賞金は4900万円を超えることになる。
両ツアー掛け持ちで稼いだ賞金の合計はざっと1億2000万円。現時点ではまだ最終的な賞金ランクは確定していないが、マークセンはレギュラーツアーのトップ3クラスの賞金を稼いだことになる。
1シーズンで4億円稼ぐランガーも凄いがレギュラーツアーでは通用していない。その点レギュラーツアーで若手と互角に渡り合うマークセンのほうが凄いのでは? と思えてくる。
ツアー仲間がこぞって賞賛するのが彼のスウィングの素晴らしさ。理にかなったオンプレーンで素振りと本番がまったく変わらない。力感を変えず素振り通りのスウィングができるのはゴルフ界広しといえど全盛期のニック・ファルドとマークセンくらいなもの。プロに「ベストスウィンガーは誰?」と質問すると未だにマークセンの名前が挙がるほどだ。
インパクトにパンチを入れなくても平均285ヤード以上飛ばすのだからレギュラーツアーで遜色ないわけである。
タイ、フワヒンの貧しい家庭に生まれ16歳から近所のロイヤルホアヒンGCでキャディを務めた苦労人は、のちにスポンサーとなるシンハビールの社長がその仕事ぶりに惚れ込み資金的援助を買って出てプロを目指すことに。
その辺の事情に詳しい関係者が以前「日本では信じられないような劣悪な環境で育ってきたマークセンがプロになれたのは奇跡」と語ったことがある。
163センチと小柄だが25歳でプロデビューすると国内ツアーでは08年の三菱ダイヤモンドカップを皮切りに5勝(レギュラーツアー)を挙げ、08年にはタイ人として初めてマスターズにも招待されている。
目下ツアーは賞金王争いたけなわ。小平智や宮里優作がしのぎを削るその舞台で一緒に頑張っているマークセンにも少しだけ目を向けてもらいたい。
写真/有原裕晶