宮里優作選手が最終戦で優勝を果たし逆転で賞金王に
鈴木愛が賞金女王となった際に行った2017年の女子ツアーのスタッツ(部門別成績)分析から、平均バーディ数と獲得賞金額には強い相関があることがわかったが、男子ツアーの場合はどうなのか。宮里優作の逆転賞金王という結果を踏まえ、検証した。
女子ツアーでは、平均バーディ数上位8人が賞金ランキングトップ10に入っていたが、男子ツアーでは平均バーディ数(男子ツアーでの呼称は“バーディ率”で、1ラウンドあたりのバーディ獲得率)トップ10のうち1位の小平智、2位の宮里優作、4位の池田勇太、5位の今平周吾、10位のチャン・キムと、5名が賞金ランキングトップ10に入っているという結果になった。女子に比べて相関は弱いように見える。
女子ツアーでは平均バーディー数の次に強い相関を見せたパーオン率は、男子ツアーでも5人がトップ10に入るという結果になった。人数的にはバーディ数と同じだが、バーディ数上位者のほうがより高い順位に名を連ねており、女子と同じく平均バーディ数のほうがパーオン率より強い相関を見せていると言える。
男子においても平均バーディ数と賞金額との相関は他のどの部門よりも強いという結果となった。ちなみに賞金王の宮里選手の平均バーディ数は2位である。
他の部門に目をやると、平均パット数では4人、リカバリー率では2人、フェアウェイキープ率では1人が賞金ランキングトップ10に入るという結果になった。実は、この相関の強さの順序は女子ツアーと同じ。ただ、相関がより際立ったのはやはり女子ツアーのほうだった。
平均バーディ数>パーオン率>平均パット数>リカバリー率>フェアウェイキープ率
2017年の男女ツアー賞金ランキングと部門別データの相関関係は、上のようになった。詳しくは省くが、ゴルフを素因数分解し、数式で表すとしたときに、それぞれの部門がスコアに影響する大きさを数値化した場合もこれと同じ結果になる。データ、理屈ともに想定通りの結果になっていると言える。
男子ツアーのデータには、女子ツアーにはないトータルドライビングが含まれていたので、その相関も見てみた。トータルドライビングとはティショットの平均距離とフェアウェイキープ率を兼ね合わせて出した数字で、ティショットのレベルを表す数値なのだが、この数値と獲得賞金との相関は日本男子ツアーではトップ10に3人が入っているという、平均パット数以下、リカバリー率以上の相関を見せた。
ただ、世界最高峰の米男子(PGA)ツアーの場合、トータルドライビング上位者が賞金ランクトップ10に1人(リッキー・ファウラー)しか入っていなく、その相関は思っているより弱いのでないだろうか。
男子と女子ツアーの決定的なデータの違い
このように上位3人のスタッツを並べると今年は宮里選手(バーディ率2位、パーオン率8位、平均パット数1位)か小平選手(バーディ率1位、パーオン率1位、平均パット数2位)以外に勝ち目はなかったように思える(ランク3位のチャン・キムはバーディ率10位、パーオン率16位タイ、平均パット数54位)。
これら男子ツアーの統計的データ分析をしてみてアマチュアの方が参考にできることは、やはり自分のレベルにあったパーオン率の設定をし、そのオリジナルパーオン設定(たとえば100を切りたいゴルファーならパー4で4オン、90を切りたいゴルファーなら同じく3オンを“パーオン”とする)の意識を高めることだ。
アプローチはプロでも6割平均で寄せワンがとれれば「優秀」といえるので、アマチュアなら33%もあれば十分。ということはあまり寄せることに意識を向けるのではなく、安全な狙い方をして、しっかりグリーンに乗せ、そこから2パットでいいという考えでラウンドするのがいいと言えるだろう。
過度の自己への期待はプレッシャーを生み、トラブルを多く招きがちだ。逆転を許した小平選手は残念だったが、データ面から見れば現状日本人選手では松山英樹選手の次にレベルが高い選手。来年のリベンジに期待したい。
そして、宮里優作選手、賞金王おめでとうございます。
写真/姉崎正
<R160メソッドまとめ>
●スウィングにおいて1番重要なのはインパクトの角度
●スコアメイキングにおいて最も重要なことは平均バーディー数をあげること