もっともボールを上げやすいクラブであるサンドウェッジ。もっともボールを転がしやすいクラブであるパター。14本のクラブの中で対極に位置するこの2本、どちらが寄るのか? それを調査しようというのが今回の実験の趣旨。
とはいえ、30ヤードのアプローチだとさすがにパターではイメージが湧かないし、10ヤードだったら逆にパター有利になりそうな気配。というわけで、「グリーンエッジまで10ヤード、エッジからピンまで10ヤードの花道」という、どちらが有利とも言い切れないような状況を設定。“スコア100を切るとその日は幸せ”というアベレージゴルファーである編集部Fと、プロゴルファー中村修が、それぞれパターとサンドを10球ずつ打ち、結果を比較した。
20ヤードから2メートル以内に寄ったのを「成功」。2〜5メートルを「普通」。5メートル以上を「失敗」とし、結果をまとめたのが以下の表だ。
正直に言って、「ややパターのほうが好結果」くらいを予想していたのだが、想像をはるかに超えてパターが“圧勝”という結果となった。この結果に驚きを隠せないのは編集部Fだ。
「グリーンエッジまで10ヤードという状況でパターは、正直“ありえない”選択でした。しかし、初球からそこそこ(4メートル)寄り、それ以降の9球はすべて3メートル以内に収まるという好結果。ザックリやトップといった大ミスも出ないし、この距離は以降確実にパターでいきます」(F)
サンドで打った場合に平均で2メートル以上あったプロとの差が、パターの場合一気に“35センチ”にまで縮まっている。プロみたいに寄せたい! と考えるなら、少なくともエッジまで10ヤード、ピンまで10ヤードという状況からは、パターを持ちさえすれば願いが叶う可能性は高い。
「花道の場合、芝がグリーン方向に寝ている可能性が高い。つまり順目の状況がほとんどです。そのため、とくに冬場であればグリーン上よりも少し強めのタッチにする程度でオッケー、大きくタッチを変える必要もないので、意外と距離感も出しやすいはずです」(中村)
とはいえ、20ヤードをパターで打つと言われても、ちょっとイメージが湧かないという人は多いはず。そういう人に中村は、「朝の練習グリーンでグリーン外からパターを使って3球程度転がしておくのがオススメ。グリーン以外の場所からのパターのタッチを知っておくと、スコアメークしやすくなりますよ」とアドバイス。
冬場にとくに威力を発揮するパターを使ったアプローチ。一度試してみると、その圧倒的な簡単具合にハマってしまうかも。
取材協力:アクアラインゴルフクラブ