統計的データ分析の手法でゴルフを読み解く専門家、ゴウ・タナカによれば、2017年の男女ツアーでは「平均バーディ数」の順位が、賞金ランクと強い相関があるという。そして、平均バーディ数は男子ツアーより女子ツアーのほうが総じて少ない。その理由はなんなのかを分析したら、スコアメークのために必要な「パー5」の攻略法が見えてきた!

女子の平均バーディ数が明らかに男子より劣っているのはなぜなのか、データを見たらその答えはすぐに出た。それは距離に関係してくる。男子ツアーの平均飛距離トップテンと女子ツアーのトップテンの平均には約18%の差がある。つまり男子ツアーは女子ツアーに比べて18%総距離が長い設定だと同じ条件になるわけだが実際はそうではない。

女子ツアーでは6400ヤードだと短いほうで、それをベースに考えると、男子ツアーは短くても7500ヤード以上ないといけない計算になり、女子ツアーの長いコースは6700ヤードあるのでその場合は男子だと7900ヤードという設定になってしまう。つまり、女子ツアーは男子ツアーに比べ、選手の飛距離に対してコースが長い(あるいは、男子ツアーは飛距離に対してコースが短い)。

ゴルフのスコアリングの鍵はパー5(これもデータをみれば明らか)なので、パー5でバーディをいかに取るかが重要。だが男子のパー5に対して女子ツアーのパー5の距離の設定が基本的に長く、バーディが取りづらい。

これは男子と女子のイーグル率を比べれば一目瞭然で、男子のトップは女子のトップに比べて2倍近くもイーグル率が高い。パー5のホールが女子は男子に比べドライバーの平均飛距離に対して長いためこのような結果となったといえる。

パー5でバーディを取る方法は「3つ」しかない

では、どのようにパー5を攻略するのがいいのか? 日本ツアーには細かいデータの蓄積がないため米男子(PGA)ツアーのデータを参考に紐解いてみる。

パー5でバーディを取るパターンは3つしかない。1つは2オンからの2パットだ。これはイーグルチャンスも残しているため圧倒的有利な攻め方だ。ただこれを可能にするには飛距離が必要である。そもそも飛距離が足りない場合は2オンは不可能なので、この攻め方には速いヘッドスピードという条件がついてきてしまう。

データを見ると顕著でパー5でのバーディ率の上位のヘッドスピードは軒並み速い。これは必然で、パー5のバーディ率を上げるひとつの方法は単純に飛距離だということが言える。

もうひとつは2オン崩れから、アプローチで寄せてバーディを取るパターンだ。これも基本的には距離が必要となるが、ドライバーがあまり飛ばないプレーヤーでもロングアイアンやウッドの精度が高い場合はこのパターンでのバーディ奪取が多数見られる。

たとえばジョーダン・スピースは、平均飛距離はツアーで75位と平均的だが、パー5の平均スコアは18位と高く、そこには150から175ヤード、200ヤード、200から225ヤードの3つのレンジからのパフォーマンスがそれぞれツアー1位という精度の高いショットがある。

画像: スピースのように抜群のショット力があれば、飛距離は平均的でもパー5でバーディが奪える

スピースのように抜群のショット力があれば、飛距離は平均的でもパー5でバーディが奪える

では、もうひとつのパターンはどうだろう? 女子ツアーで余儀なくされるのがこのパターンで、3オン1パットである。統計的データ分析で3オン1パットでの理想的な攻め方が浮かび上がってきた。

PGAツアーのデータを参考に見てみると、彼らはだいたい10ヤード以内まで寄せれば85%、10から20ヤードなら65%(だいたい3回に2回)、20から30ヤードなら52%(2回に1回)、30ヤード以上で28%(4回に1回)の確率で“寄せワン”を奪取している。

ここでもっとも注目すべきは最後の30ヤード以上でのアプローチの数値だ。世界のトップレベルの男たちをもってしても4回に1回ほどしか成功しないのだ。中途半端なレンジの距離をコントロールするのが難しいのがその理由だろう。感覚ではもっと寄せているイメージがあるが、データは嘘をつかない。前出のスピースですら、30ヤード以上は28.57%。つまり、30ヤード以上離れてしまえば、寄せワンは難しいのだ。

この数値が示す事実から導き出される理想的なマネージメントは、パー5でのセカンドショットが30ヤード以内に確実に持っていけない場合は2オンを狙うべきではないということである。そもそも2オンを狙うショットはリスクを伴う。ティを使わずにもっとも遠くに飛ばさなければいけないショットであり、コース設計の基本として、パー5では池やOBなどの罠をしかけてくる。

なので、限りなく少ないリスクで30ヤード以内まで持っていけるなら狙ってもいいが、そうでない場合は狙ってはいけない。そもそも20から30ヤードに寄せたとしてもトッププロでも2回に1回しかバーディは来ないのだ。リスクに対し、リターンが悪い。

上記のパターンは2オン崩れのものだが、そうではない場合はどうだろう。距離がでないのにパー5でのパフォーマンスが高いプレーヤーにはやはり特徴があった。彼らには得意な距離が存在するということだ。75、90、100、120など100ヤード付近の距離である。彼らは共通して自分の距離を持っているのだ。

統計的データ分析からみたパー5の攻略方法はまとめるとこうだ。2オン2パット、2オン崩れ(30ヤード以内に寄せるのが条件)、そして3打目を得意な距離で寄せるの3つである。アマチュアにとって2オン2パットは現実的ではなく、もっとも現実的で有効な方法は3打目での勝負だろう。

そのため、自分の得意な距離を見つけ、練習し、磨くことがパー5の有効な攻略方法だ。得意な距離はパー4でも威力を発揮する。短いパー4や、トラブルに見舞われたときにこの距離を残すとバーディ、パーセーブの確率も上がるからだ。

そしてパー5で2オンもしくは2オン崩れを狙えないと分かっている場合はティショットでドライバーにこだわらないというのはスコアリングにおいてかなり有効だろう。ここでリスクをとる意味は限りなく少ないからだ。

【R160メソッドまとめ】
1 スウィングにおいてもっとも重要なことはインパクトの角度
2 スコアメーキングにおいてもっとも重要なことは平均バーディー数をあげること
3 パー5の2オンは確実に30ヤード以内に寄せられないなら得意な距離を残し3打目勝負する

写真:姉崎正

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