PGAツアー「セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」最終日12番ホールでダスティン・ジョンソンが放った、433ヤードをあわやホールインワンというスーパーショットは大きな話題となった。ジャスティン・トーマス、ブルックス・ケプカ、松山英樹らも試合中に400ヤードを超えるショットを披露した。世界のトップの圧倒的飛距離はどこから生み出されるのか、ゴルフスイングコンサルタントの吉田洋一郎に聞いた。

「目に見えない力」が可視化され、スウィングに変化が起きた

ダスティン・ジョンソンがなぜあれだけ飛ばせるのか。ヒントはPGAツアーで主流となりつつある「地面反力」にあります。ダスティン・ジョンソンのスウィングを見ると、アドレスで曲がっていた右ひざが、トップでピンと伸びている。これが地面反力を利用している証拠。

トップで右足が伸び、インパクトにかけて左足を伸ばすことで地面を踏み込み、それが跳ね返る力を利用して回転力を上げ、飛距離に結びつけています。

画像: トップで右ひざが伸び、インパクトでは左ひざが伸ばしながら地面を踏み込むD・ジョンソン

トップで右ひざが伸び、インパクトでは左ひざが伸ばしながら地面を踏み込むD・ジョンソン

2017年の全米プロで優勝したジャスティン・トーマスや、ダンロップフェニックスで連覇を達成したブルックス・ケプカなども、インパクトで左足がめくれるほど地面を強く蹴っています。

ジョンソンと同じく、地面を強く蹴って跳ね返ってきた力を上半身の回転力に変えることで、よりスウィングのスピードを上げるという打ち方です。

画像: ジャスティン・トーマス(写真左)とブルックス・ケプカ(写真右)。ともにインパクトで左足が伸びている

ジャスティン・トーマス(写真左)とブルックス・ケプカ(写真右)。ともにインパクトで左足が伸びている

昨年末、PGAツアーの非公式戦ながら復帰を果たしたタイガーウッズも、地面反力を取り入れ体に負担の少ないスウィングに改造を行っていました。先日タッグを解消してしまいましたが、近年のタイガーのスウィング改造を支えたクリス・コモは、地面反力の研究を行うヤン・フー・クォン教授と一緒に活動をしていました。

松山英樹も、今後この地面反力を取り入れてさらに飛距離を伸ばしていく可能性があります。2017年のダンロップフェニックスで来日した際、これまでより若干アップライト(急角度)なスウィング軌道に変更していましたが、この軌道を維持するためには上半身の縦回転の動きが必要になりますが、地面から得られる縦方向の反力を使うと、上半身の縦回転がやりやすくなるからです。

こうした反力を使った打ち方が一般化してきたのは、計測器具の進化によって、これまで可視化できなかった、力(フォース)の動きが計測できるようになったからといえるでしょう。ハイスピードカメラやモーションキャプチャーといった、目に見える動きを細かく分析する時代から、目には見えない力を数値化して生かす時代になったのです。

トッププロがこぞって取り入れる地面反力を使ったスウィングですが、プロほど筋力のないアマチュアこそ取り入れるべき動きだと言えます。

縦に踏み込むという動きは、横移動や回転に比べてイメージがつきにくいかもしれません。しかし動きの要領さえつかんでしまえば、地面を踏み込んで返ってきた力を上半身の回転に変えることは誰にでもできます。地面を蹴る動きが顕著に出ているトーマスのスウィングお手本に、まずは素振りから始めてみましょう。ポイントは踏み込みのタイミングと前傾角度の維持です。

トッププロが推奨してアマチュアの間で一世を風靡したボディターンのように、今年は地面反力を生かした体の動かし方がスウィングのトレンドになるかもしれません。

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